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大学受験では使わない「中学受験算数」の問題点 それは本当に小学生がやるべき勉強なのか?

東洋経済オンライン / 2024年4月26日 13時20分

特殊といわれる中学受験の算数は、後々の「数学力」に生きるのでしょうか?(写真:Princess Anmitsu/PIXTA)

中学受験ブームが過熱する中、あえて小学校のうちから高校受験でトップ公立高校や早慶付属校を見据えて勉強を進めていくという勢力が近年台頭しています。本稿では『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』より一部抜粋・再構成のうえ、中学受験は避けて高校受験するメリットをご紹介します。

「中学受験算数」というきわめて独特な分野

よく言われている中学受験の弊害として、算数の問題が数学とあまりリンクしていないクイズのような難問になってしまっており、数学的思考力に良い影響を与えないのではないかという論点があります。

中学受験の算数は一般的な公立小学校で習う簡単な算数とは異なり、中学以降で学んでいく数学とも性質が異なる「中学受験算数」というきわめて独特な分野として確立されています。

その中でも代表的な中学受験の算数の分野に「つるかめ算」と言われているものがあります。これは「足が2本のつると、足が4本のかめが合わせて15匹います。足の数は合わせて42本です。つるとかめはそれぞれ何匹いるでしょう」といった問題です。

中学範囲の連立方程式を学んだあとであれば、つるの数をx、かめの数をyと置き、「x+y=15」「2x+4y=42」と2つの方程式を用意することで、加減法や代入法を用いてx=9、y=6と導き出すことができます。

しかし小学校範囲では中学範囲の方程式を教えないことになっているので、xやyといった文字を使わない解法が採用されています。例えば次のように考えます。

「つるの数を15匹、かめの数を0匹と仮定すると、足の数は15×2=30本となり、合わせて42本という条件に対して12本足りません。つるとかめを1匹ずつ交換していくと、1匹交換するごとに足は4−2=2本ずつ増えていくので、12本増やすには12÷2=6匹交換する必要があります。最初につるは15匹、かめは0匹と仮定していたので、つるは15−6=9匹、かめは0+6=6匹が正解になります」

他にも面積図や表を使って考えていく方法や、方程式のxやyの代わりに「△」や「□」といった記号を用いて解く方法など、中学範囲の連立方程式を理解している人にとっては遠回りと思えるような解法が様々あります。

これは、文科省の学習指導要領により方程式は中学から習う内容となっているため、小学生を対象とした中学受験では出題できないという事情があります。

頭の体操になったり、順を追って物事を整理していく力は付きそうですが、この解き方をひたすら演習するくらいなら、中学範囲の数学を少しでも先取っていった方が後々の「数学力」に生きてくる気もします(ただ、就活における「SPI」などの数的分野で出題される問題が、こちらの「中学受験算数」と酷似しているため、中学受験の経験者はここでは面目躍如することになります。6年後の大学受験数学にはあまり結びつかないかもしれませんが、10年後の就職試験の際にちょっと役立つことはありそうです)。

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