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物価高でも値上げをしない「サイゼリヤ」。コスパ最強であり続ける“50年前から変わらぬ”姿勢とは

日刊SPA! / 2024年5月5日 8時53分

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サイゼリヤ

 今から56年前の1968年、理工系の創業者(現会長)が、八百屋の2階を借りてスタートした「サイゼリヤ」。最初の頃は「お客様にどういう価値を提供したいのか」が曖昧で、コンセプトがブレまくったために、失敗の連続だったよう (J-Net21「起業の先人に学ぶ」2018/05/30)だが、今では誰もが知る約1500店舗を有するコスパ最強のイタリアンレストランチェーンにまで成長した。飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士の立場からその成功要因を見ていきたいと思う。
◆コスパ最強と評価されるサイゼリヤ

 サイゼリヤは1000円あればお腹いっぱいになれるコスパ最強の店とお客さんから評価されている。ミラノ風ドリアやスパゲティなども人気だが、なかでもハンバーグは400円(税込、以下同じ)と驚きの価格である。

 ライス(中)をつけても550円。一人暮らしなら、スーパーで食材を買って家で作るより、サイゼリヤでテイクアウトしたほうが時間や調理負担を考えても、経済的だろう。牛肉100%、付け合わせは目玉焼き、コーン、ポテトでこの価格とは、物価高などいろいろな要因で値上げが回避できない状況にある外食業界で、信じ難い価格である。

◆どうすればこの価格で提供できるのか?

 それは創業者がチェーンストア理論をベースに、将来の変化を科学・分析することで店を柔軟に適合させていくという考えの上で、最適なビジネスモデルを確立したからだ。外食他社のように複数の業態を持ち、管理する「ブランド・ポートフォリオ戦略」からは一線を画し、単一業態に一点集中し、改善を重ねて確立させた効率的・効果的な仕組みである。

 衣料品業界で有名な「SPA(製造小売り:商品の企画から生産、販売までの機能を垂直統合したビジネスモデル)」のように、サイゼリヤは外食業において製造直販業を目指しているからだ。自ら商品開発~食材の生産~加工~配送まで一貫して行い、生産と販売のリズムを一体化させ、高品質と低価格販売を両立させるのである。

 これらの最大のメリットは、品質と価格を自社で管理統制できる点である。中間にさまざまな事業者を介入させると、その分だけ意思疎通が難しくコストも膨らんでくる。それらを排除し、整理することで、高品質で低価格の商品がスムーズに提供できるのである。自ら産地に赴き、素材の開発、素材の採り方、保管の仕方、加工の仕方、輸送の仕方に至るまで、すべての工程に踏み入り、品質の向上とムダの削減に取り組んでいるようだ。

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