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「利益の最大化」だけが目的の企業が招く暗い未来 企業が放棄してしまった「共通善」という役割

東洋経済オンライン / 2024年5月2日 11時30分

これにより社会の大きな問題への関心が薄く、もっぱら利益を上げることに腐心するビジネスリーダーが増えた。金融資本主義も台頭し、ものの生産よりも金融工学に軸足を移した企業活動が目立つようになっている。さらに「迅速に動き、破壊せよ」というモットーに代表される、責任ある行動より急速な技術の進歩を重んじるシリコンバレー精神も広まった。

ときにビジネスリーダーが共通善の守り手としての役割を口にすることもあるが、わずかな例外を除いて、そのような発言に行動の裏づけがあることはますます減っている。

放棄されてしまった企業の本来の役割

わたしたちが今、目の当たりにしているのは、企業と大物経営者が途方もなく大きな――東インド会社の時代には想像すらできなかったであろうほどの――富と力を持つ時代だ。しかし社会の繁栄を築くための道具という、企業の本来の役割は放棄されてしまっている。

これは危険な状況だ。長い年月のあいだに企業は進化したが、同時に、制度を悪用して、他人の富を奪い取ろうとする悪徳経営者の手口も進化している。グローバル経済の将来に何が待ち受けているかは、企業の原点に立ち返れるかどうかで決まる。原点に立ち返れなければ、あらゆる犠牲を払って利益を最大化するという泥沼にはまって、二度と抜け出せなくなるだろう。

(翻訳:黒輪篤嗣)

ウィリアム・マグヌソン:テキサスA&Mロースクール教授

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