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番記者が振り返る、大谷「エンゼルス」選択の妙 二刀流実現の「軌跡」と大谷が目指したもの

東洋経済オンライン / 2024年5月4日 13時40分

それともう1つ。

花巻東の佐々木(洋)監督にインタビューした時に、「大谷はドジャースかヤンキースに行きますよね?」と聞いたら、監督は、「そうは思いません。そんなにすごい伝統や日本人選手在籍の歴史もないチームに行くと思いますよ。彼は自分で歴史を作っていきたいと思っている」と答えたんだ。

そしてこう付け加えた。

「彼は全国のどの高校にも行けたはずなのに、誰もやったことのないことをやるために岩手にとどまった。そういう人間なんです」と。

高校卒業時も、「アメリカに行くからドラフト指名しないでくれ」と日本の球団に言ったよね。高校から直接メジャーに行く選手なんていなかったのに。

日本ハムは、誰もやったことのない二刀流に挑戦するチャンスを与えることで、日本に残るよう説得した。

2017年にメジャー挑戦を発表した時も、日本球界の重鎮たちが、「アメリカでは二刀流は難しいだろう」と言っても、彼は気にしなかった。とにかく誰もやったことのないことをやりたいという気持ちが強いんだ。

ほぼ自分1人の力で球団を変えたと称されるような存在になりたいんじゃないかな。スポーツ界には、そういう選手が何人かいる。

シカゴ・ブルズといえば、何を思い浮かべる?

マイケル・ジョーダンだよね、引退して何年も経っているのに。ディエゴ・マラドーナは30年間ナポリでプレーしていないけど、チームの名前を聞いたら、真っ先に思い浮かぶのはマラドーナ。

ヤンキースに行ったら、そういう存在になるのは難しい。ヤンキースは個々のスター選手を超越するくらい伝統のある球団だから。

ドジャースもそう。エンゼルスはそうではない。それも一因だったと思う。

「君がやりたいようにやれ」

サム 2021年に、エンゼルスは彼に課されていた制限を全て取り除いて、「君がやりたいようにやれ」と言った。

もしかしたら、それが彼が再度、肘を痛めた理由なのかもしれない。体を酷使しすぎたり、投球量が多すぎたり。

でも、大谷がそれで後悔しているということはないはず。過去を変えたいと思ってはいないと思う。

というのも、ディランが言ったように、全てのチームが彼にこういうチャンスを与えるわけではなかったから。

エンゼルスでは、彼は監視されることなく自分の好きなようにトレーニングをすることができた。WBCでも好きなだけ投げて、好きなだけプレーすることが許された。

エンゼルスで過ごした6年間で、良い面もいっぱいあったはず。「勝つ」という面では、ちょっと誤算だったとは思うけど。

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