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「がん診断で退職」待つのは"収入無"の新たな問題 サバイバーの女性「がんでも仕事は辞めないで」

東洋経済オンライン / 2024年5月6日 11時0分

(写真:yamasan/PIXTA)

がんと診断されたことで混乱し、職場を辞めたり、事業をたたんだりすることがある。だが、そうすると、がんの治療費による負担だけでなく、収入が減るという問題が生じる。これを防ぐためには、「仕事を辞めないこと」が大事になるが、治療との両立ができるのか不安に思う人もいるだろう。

がんになってもしっかり働くためのノウハウを届けたい(知っておきたい「がん治療とお金」を、3日間にわたってお届けします。今回は3回目)。

10人に1人が「びっくり退職」

家族や友人、職場の人にがんと診断された人はいるだろうか。その人が現役世代や個人事業主なら、仕事はどうしているだろう。治療を続けながら、仕事も続けているだろうか。

【図で解説】「がんと診断されたあとに仕事を辞めてしまう人」がこんなにも多いという、驚きの調査結果

がんと診断される人のほぼ4人に1人が20~64歳の就労世代だ(国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」より)。がんになったことをきっかけに退職・廃業した人は就労者の約20%(同センターの患者体験調査)。その中で、がんの初回治療までに退職・廃業した人は60%弱だった。

つまり、がん患者のほぼ10人に1人は、診断されたことに驚き、不安と混乱の中で退職の道を選んだと見られる。こうした行動を、昨今は「びっくり退職」「びっくり離職」と呼んでいる。

あわてて仕事を辞めないで

今回取材した医師や支援者が口をそろえるのが、「がんと診断されてもすぐには仕事を辞めず、働き続けることは1つの選択肢。『びっくり退職』は避けたほうがいい」ということ。

愛知県がんセンターでがん患者の薬物治療にあたる医師の本多和典さんは、「お金がかかることと働けなくなること。その両方が急に襲いかかるのが、がんの特徴。勢いで辞めてしまうと、その後のサポートが難しくなることも。あわてて仕事を辞めないで」とメッセージを送る。

一般的には、がんと診断されたあと、入院して手術をすれば、それで治療は終わる――。そんなイメージがあるかもしれない。

確かに、がんの種類やステージ(進行度)によってはそうだが、手術後も受診して定期的に血液検査や画像検査を受ける必要があるし、40代後半~50代の女性に罹患の最初のピークがある乳がんでは、ホルモン薬の内服を5~10年続けることもある。言い換えれば、その間、治療費の支払いは続いていく。

手術・放射線と並ぶ主要な治療である薬に関していえば、「がん免疫療法薬(免疫チェックポイント阻害薬)」など、効果も価格も高い新薬が相次いで導入されている。

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