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世界の建築にも影響、日本発「メタボリズム」の正体 西洋建築と日本の歴史を通して見えてくるもの

東洋経済オンライン / 2024年5月16日 18時0分

メタボリズムを象徴する黒川紀章さんの設計の「中銀カプセルタワー」。2022年に解体された(kash*/PIXTAピクスタ)

「建築」はその国の文化や考え方を表現するものであり、そこで過ごす人々に多大な影響を及ぼすといっても過言ではありません。数々の大学で教鞭をとり、国際コンペの審査員も務める建築家の国広ジョージ氏は「建築という教養を身につけることで人生はより豊かなものになる」と言います。今回は、建築を軸に日本と世界の歴史を振り返ります。

※本稿は国広氏の新著『教養としての西洋建築』より、一部抜粋・再構成のうえお届けします。

数々の「美」を生み出してきた西洋建築の歴史

建築にとって何を「美」と考えるかは、時代によってさまざまに変化してきました。その変遷をたどるのが、西洋建築史の中心テーマです。もちろん「用」や「強」を進歩させる素材や技術も次々と変化しますが、その新しい素材や技術が新しい「美」を生み出すきっかけにもなってきました。

【写真で見る】20世紀のモダニズム建築を主導したフランスのル・コルビュジェの代表作

ただし、西洋建築の美意識は「新しさ」だけを求めてきたわけではありません。時代の変遷の中で何度も『建築十書』が書かれたギリシャ・ローマ時代に立ち返るのが、西洋建築史の特徴であり、面白いところでもあります。たとえば15世紀以降の「ルネサンス建築」は、まさにそういうものでした。

キリスト教の聖書がすべてをコントロールした中世の封建体制の変革を目指した「ルネサンス」は、「再生」「復活」を意味するフランス語。ギリシャ・ローマの古典文化を復興させようとする文化運動です。そのため建築も、ギリシャ・ローマ建築を見直すようになりました。

そのルネサンス建築は、やがて「バロック」や「ロココ」と呼ばれる華やかな装飾スタイルを生み出しましたが、それが過剰になって飽きられるようになると、よりシンプルな建築が求められるようになります。

ここでも、参照されたのはギリシャ・ローマの建築。18世紀末には、「新古典主義」と呼ばれる流れが生まれました。その後、建築史に大きな転換をもたらす要因となったのは、産業革命です。

技術革新によって大量生産が可能になった世界では、何よりもスピードや効率が価値を持つようになりました。そういう社会的な変化を受けて、建築の世界でも装飾が否定され、機能性や合理性を重視する「モダニズム」が生まれます。

1960年代には行き詰まっていた?モダニズム建築の事実

建築にあまり詳しくなくても、フランスのル・コルビュジェ(1887−1965)という建築家の名前を見聞きしたことのある人は多いでしょう。彼は、20世紀のモダニズム建築を主導した重要人物のひとりです。

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