次世代半導体の国産化実現へ 経産省がラピダスに追加支援
財界オンライン / 2024年4月25日 11時30分
「日本には優れた材料メーカーや装置メーカーがあるが、この出口となるメーカーが無かった。もう一度、この力を合わせて、日本から世界に貢献できる半導体をつくっていく」
こう語るのは、Rapidus(ラピダス)社長の小池淳義氏。
経済産業省がラピダスへ、最大5900億円の追加支援を決めた。経産省はすでにラピダスへ合計3300億円の支援を決めており、今回の支援額を合わせると合計9200億円。国の主導で、先端半導体づくりに挑もうとしている。
次世代半導体の国産化を目指す新会社として一昨年に設立したラピダス。現在は北海道千歳市に、国内初となる2ナノメートル以下の最先端ロジック半導体の開発・生産を行う新工場を建設中。2027年に量産を開始する計画で、総額5兆円規模の巨額投資になる見通しだ。
次世代半導体は生成AI(人工知能)や自動運転に不可欠で、日本の産業競争力のカギを握る存在。軍事品などにも搭載される半導体は、米中対立などを背景に経済安全保障の観点から重要性が高まるばかり。
そのため、各国が安定調達に向けて、世界中で有力企業の誘致が加速。米国政府はインテルに過去最大の半導体補助金85億ドル(1兆3千億円)の給付を決定。半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)に66億ドル(約1兆円)、韓国サムスン電子には64億ドル(9800億円)を補助することを決めた。
日本政府も、熊本にTSMCを誘致。すでに合計1.2兆円の支援を決めており、ラピダスを含めて、この2社に2兆円以上の補助金が投じられる方針。
こうした動きに対しては、地域経済への波及が期待される一方で、優秀な技術者の確保や工業用水の確保といった課題の他、10年連続最終赤字が続くジャパンディスプレイのように「国主導の戦略は過去に何度も失敗している」との懸念も根強い。
日本の半導体復活へ、そして、国による巨額の税金投入を国民に納得させるためにも、小池氏の手腕が今まで以上に問われそうだ。
【政界】混迷が続く「政治とカネ」問題の潮目は変わらず 信頼回復と覚悟を問われる岸田首相
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ラピダスの前途が手放しには「楽観」できない事情 日本の半導体産業に巡ってきたラストチャンス
東洋経済オンライン / 2024年5月7日 11時0分
-
国費1兆円の勝算は?=次世代半導体に本腰―ラピダス
時事通信 / 2024年5月6日 5時40分
-
国策ラピダスとTSMC"2つの戦略"で決定的な差 早大・長内教授「ビジネスにストーリーがない」
東洋経済オンライン / 2024年4月30日 8時20分
-
日本の「半導体業界復活」に絶対的に必要な3つ 補助金付は企業を弱体化させるだけだ
東洋経済オンライン / 2024年4月28日 10時10分
-
国策ラピダス「補助金1兆円」注ぐ至難技術の成算 535億円投じる「後工程」でブチ上げた開発戦略
東洋経済オンライン / 2024年4月16日 7時0分
ランキング
-
1「サイゼが潰れたら喜ばしい」創業者が語る真意 「世の中が良くなることは、すべて最高だ」
東洋経済オンライン / 2024年5月12日 12時20分
-
2「超円安」に悲鳴!外食業界で続く値上げの波 「1ドル=160円」なら全面値上げも続出か
東洋経済オンライン / 2024年5月12日 7時50分
-
3総額9000億円「築地再開発」に渦巻く期待と不安 国際競争力の向上と環境への配慮の二兎を追う
東洋経済オンライン / 2024年5月12日 7時40分
-
4ヨーカドーの跡地が「世界最大級の無印良品」に…過疎地の商業モールを復活させた「社会的品揃え」の魅力
プレジデントオンライン / 2024年5月11日 9時15分
-
5危険な「第4種踏切」なぜ無くならない? 事故が起きてから重い腰を上げる行政
乗りものニュース / 2024年5月12日 9時42分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください