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『たまこまーけっと』の牧野かんな役、長妻樹里に聞く声優の魅力とは

Entame Plex 2014年10月11日 13時43分

TVアニメ『たまこまーけっと』の牧野かんな、『中二病でも恋がしたい!戀』では七宮智音を演じた声優の長妻樹里。現在は歌手としても活動し、8月には、ファーストシングル「言えないアイスクリーム」をリリース。彼女は、なんでも以前は看護師として働きつつ、そこから声優の道へ。長妻樹里のこれまでの道のり、そして声優の魅力についてなど、いろいろと話を聞いた。



――樹里さんは、もともとは看護師。そこから声優への道に進まれたんですよね。
「人にはいろいろな人生の道があると思います。しかも、一度きりの人生。地元・北海道で過ごしていた頃は、声優になりたい夢を持ちながらも、まわりに同じ夢を持っている仲間もいなければ、都心から離れて暮らしていることもあって、なかなか現実感を持てませんでした。なので、その夢を心の中で抱きつつ、学生時代からボランティアとして続けていた福祉活動にも強く関心があったので、地元で看護師の資格を取り、上京すると同時に看護師として働き始めたんです」

——そこからどうやって声優に?
「看護師として働き出すと、今度はずっと抱えていた声優の夢を求めたくなり、仕事を終えては、今の事務所が運営する養成所(プロ・フィット声優養成所)へ通い、憧れだった声優の勉強を始めました。今でこそ高校生や大学生など若い生徒の方も多いのですが、私が20歳で養成所へ入ったときは、クラスの中で一番年下でしたね。まわりは、私と同じように仕事をしながら夢を追いかけている人たちばかりで。もちろん、早い時期から夢を追い求め、若くして夢をつかむ方もいます。でもこの業界、何歳から始めても、技術や才能的に劣るとか、始めるのが遅かったからという理由は当てはまらないんですよね。だから、そういうことはまったく気にしなくて良いと思います。実際、社会人経験をしたうえで声優としての現在を築いている方々も沢山いますし。私にとって、社会人としての経験は人としての心の基盤になり、その経験があったからこそ今の自分があるのかなって、強く実感しています」

――声優という仕事の魅力。樹里さんは、どのように感じていますか?
「私は今、ネットラジオ番組『マダ、ナイ、ラジヲ。』でパーソナリティの一人として参加させていただいているんですけど、そこでゲストとして出てくださったベテラン声優の古谷徹さんや野沢雅子さんとお会いして感じたのが、2人とも身体に電流が走るくらい“声にエネルギーを持っている役者さん”ということ。私はまだまだ駆け出しですが、“声自体に存在感や魅力を持った表現者こそが、声を通して命を吹き込む人なんだ”とお会いして感じました。これに関しては、本当に経験を重ねてこそできることなんだなと思います」

――いろんなキャラクターになれるのも声優という仕事の魅力だと思いますが。
「まさにその通りだと思います。“作品の中でキャラクターを演じているときは、その世界の中での人生を生きている気分”になれるんですよね。物語の中で演じたキャラクターがつらい想いや失恋を経験すると、私自身も同じ想いを経験できるんです。その体験を通して、私自身もその気持ちを理解し、学んでいける。そういう経験を重ねるたび“この役柄と出会えて良かった”って素直に思えますね」

——ただ、その分大変なとこもあると思います。表現方法とか。
「たとえば泣くシーン1つを取っても、“嬉しくて泣く”、“悲しくて泣く”、“つらくて泣く”など、同じ“泣く”でも全然表現が違いますからね。でも、私自身過去につらい想いを経験し、嗚咽するくらい泣いたときがあって、その経験を思い出し、演技の上でも嗚咽するくらい泣けたとき、“実際の経験を演技でも生かせてこそ役者”なんだなと思いました。エチュード(即興劇)のレッスンで“狂気染みた女性”を演じたときにも、私は普段の生活の中で怒鳴るどころか大声さえあげないのに、即興芝居の流れの中、大声を張り上げることができたんです。そのときにはそこで新しい自分を発見できたり。自らの経験が演技にも反映されれば、演技を通し普段は経験し得ない感情を導き出せたり、様々な作用があるなと感じています」

——声優業は奥が深いと。
「普通は、大人になればなるほど“感情を抑えなきゃ”ってなると思うんです。日常生活の中でも、どうしても感情を制御しなきゃいけないことがありますけど、お芝居はそういう“たがを外して自由に表現できる”ものだと思うんですよね。そこで素直に感情を解き放てることも、演じるうえでの魅力だと思います」

――樹里さんのターニングポイントとなった作品は?
「メインのレギュラー役として参加した初めての作品、牧野かんな役を演じた『たまこまーけっと』だと思います。この作品を通して、ラジオ番組のパーソナリティを担当したり、キャラクターソングも歌い、イベントにも出演させて頂きました。今年は、劇場版『たまこラブストーリー』まで公開しますし、作品に長く携われたからこそ、私自身が成長し続けられたし、『たまこまーけっと』を通して得られた経験は大きなことでしたね」



――樹里さんは、8月にファーストシングル「言えないアイスクリーム」を発売し、アーティスト・デビューも飾りました。キャラクターソングではなく長妻樹里名義で作品を出せたことはいかがでした?
「(リリースは)誰もが経験出来ることではないし、とても嬉しかったですね。しかも、甘酸っぱい片想いの心模様を歌った『言えないアイスクリーム』を聴いた方たちから、『この歌を聴くと、すごく胸がキュンキュンする』『この気持ちとてもわかる!!』という声を沢山いただけたのがすごく嬉しくて。この曲の歌詞にあるように、“好き”という言葉を言いたくても言えない人は多いと思うんです。私もそうですし(笑)。同じような想いを感じている人たちが多かったのも嬉しいことでした。今後も、作品を重ねていきたい気持ちもありますけど、まずはいろいろな人たちに、この曲を届けたいなと思っています」

TEXT/長澤智典

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