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【海外発!Breaking News】医師ら「過去25年で最悪のケース」 髄膜炎で四肢切断した1歳児、退院へ(英)

TechinsightJapan 2018年1月8日 21時56分

「過去25年間でこのような酷い状態は見たことがない」と医師らが口にしたほど、生後9か月の女児は“最悪のケース”とされるC群髄膜炎菌に感染した。しかし四肢切断という過酷な状況に耐えながらも、幼い女児は小さな体で驚くほどの強さを発揮し病と闘い続けた。そしてようやく退院の目途も立ち、家族は希望とともに新年を迎えることとなった。英メディア『real fix』『Gloucestershire Live』『Mirror』などが伝えている。

ウェスト・ヨークシャー州ワイクに住むヴィッキー・ミッチェルさん(30歳)とポール・ゴットさん(35歳)の末娘キアちゃん(1歳)に異変が起こったのは、昨年9月23日のことだった。

高熱を出し具合が悪かったキアちゃんを寝かしつけた両親が、夜中に酷くむせながら苦しそうに息をするのを聞き、部屋に行くとすでにキアちゃんの顔や首、胸など至る所に紫色の痣ができていた。夫妻はすぐにそれが髄膜炎の症状の一つであることを察し、直ちに救急車を呼んだ。救急車内での処置に続き、搬送先のブラッドフォード・ロイヤル・インファーマリーでも緊急処置が施されたが、キアちゃんの両腕や両脚は黒く変化しており、翌24日に両親は改めてキアちゃんがC群髄膜炎菌に感染したことを告げられた。この細菌は10人に1人の割合で咽頭部に存在する無害のものだが、こじれると熱や頭痛、吐き気など風邪に似た症状を引き起こし、一旦血流に乗って髄膜まで至ると命を脅かす症状になり、早急に処置を要する。

医師らは、キアちゃんの症状が「過去25年間でも見たことがない」というほど最悪のケースの一つとし、ポールさんとヴィッキーさんは「助からない可能性もある」という告知を受けた。さらに四肢切断手術の前に行われたMRIで、脳の90%がダメージを受けており、ほぼ間違いなく視覚・聴覚障がいがあること、自分で動くことはできないであろうことも告げられた夫妻は、悲しみのどん底に突き落とされた。

その後、四肢切断を余儀なくされたキアちゃんは、10月19日の最初の切断手術から計4回、身体の負担が減るように10日間の間隔を置いて手術が行われ、右腕は肘から先、左腕は手首から先、そして左脚は膝上から下、右脚は大腿部真ん中から先をそれぞれ切断した。最初の2回の切断手術は順調にいったが、残りの2回の手術後は容体が優れず肺感染症を起こし、腎臓にも問題が見られたため透析を受け、さらには2度の輸血を必要としたという。また最後の切断手術後、キアちゃんは1週間の昏睡状態に陥った。ヴィッキーさんはそんな苦悩の日々をこのように語った。

「いつも崖っぷちに立たされている気分でした。次に何が起こるのか全く予想できない状態の中で、医師からは次々とネガティブな告知を聞かされました。現実を見なければならないと分かっていても、親としては我が子への希望を捨てたくはないのです。」

キアちゃんが入院して以来、ヴィッキーさんはほぼ病院で付きっきりの生活を過ごしており、ポールさんは2人の子供ケイデン君(8歳)とエルシーちゃん(4歳)の育児と家事を一切に引き受けてきた。ほぼ仕事ができない状態のポールさんは不本意だが他に選択肢はなく、現在はベネフィット(生活保護手当)に頼っていることを明かしている。

「あの日の夜を思い出す度に吐き気がします。まるで悪い夢を見ていてもう二度と目覚めないような気持ちです。キアの命だけでなく、私たちの命もバラバラに引き裂かれてしまったような感じです。一日も早く普通の生活に戻りたいという気持ちがありますが、今はただキアの命が助かったことが何より大切で、生き続けてほしいと願っています。」

このように語るポールさんだが、ヴィッキーさんとともにNHS(英国民保健サービス)の髄膜炎予防接種のプログラムに不満を露わにし、現在は署名活動を行っている。実はイギリス国内で2015年から2016年の間に、1歳未満の赤ちゃんがC群髄膜炎菌に感染した例はわずか1件であったことからNHSは2016年7月、C群髄膜炎菌の予防接種時期を生後3か月から12か月に引き上げた。もし変更がなされていなければ、キアちゃんは生後3か月になった時点で予防接種が可能だったのである。誕生日を迎える12月に予防接種を受ける予定になっていたが、数か月前に不運にもC群髄膜炎菌に感染してしまったことで夫妻は「予防接種時期を戻すべきだ」と訴えている。

12月に病院のベッドで1歳の誕生日を迎えたキアちゃんは、キャンドルを立てたケーキで誕生日を祝ってもらったが、クリスマスも残念ながら家族と自宅で過ごすことができなかった。皮膚移植のためにあと数か月は入院が必要なキアちゃんだが、ようやく医師と退院後のプランやリハビリについて話し合いを持つ段階までくることができた。両親は医師に何と言われようと、キアちゃんの回復を信じているという。今後は、成長とともにキアちゃんは車椅子生活になることから広い家に引っ越さなければならないようで、一家へのサポートのために設置された寄付金サイト「JustGiving」のアカウントには、36,000ポンド(約550万円)以上の寄付金が集まっている。

画像は『real fix 2018年1月2日付「Family Of Meningitis-Struck Baby Begin New Year With New Hope As They Prepare To Bring Their “Little Fighter” Home」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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