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鎮痛薬の飲みすぎで頭痛が起きる!?薬に頼らない頭痛対策は?

JIJICO 2021年9月24日 12時30分

一次性頭痛の第3位は薬物乱用頭痛 薬の飲み過ぎは要注意

新型コロナワクチンの副反応に対し、厚生労働省は「必要な場合は解熱鎮痛剤を服用するなどして様子をみる」のが適切としているため、接種後の備えとして鎮痛薬を買い求める人が急増しています。痛みが出てから飲む場合が多いと思いますが、中には痛みが出ることを回避したいという心配から、症状が出ていないにもかかわらず鎮痛薬を服用している人もいるようです。ここで心配されることは、薬を多飲することによる頭痛です。頭痛には、基礎疾患を持たない一次性頭痛とくも膜下出血などの疾病が原因となる二次性頭痛があります。日本頭痛学会によると、一次性頭痛の第1位は緊張型頭痛、第2位は片頭痛と言っていますが、第3位は「薬物乱用頭痛」です。診断基準は、月に15日以上鎮痛薬を飲んでいる場合となっていますが、実際には月に10日以上飲んでいる人は要注意、と思ったほうが良いようです。安易に鎮痛薬を乱用することは危険だということがわかります。

頭痛の原因は様々 生活様式の見直しで軽くなる?

額が重い、頭のてっぺんが円形上に痛い、耳の上あたりがズキズキする、後頭部がズーンとする、頭全体がキリキリする等、頭痛がする場所や症状は人さまざまです。しかしながら、国際頭痛分類第3版(ICHD-3)を見ると、一次性頭痛の原因ははっきり解明されていないようです。東洋医学の視点から見ると、不規則な生活様式と頭痛がする場所や発症する病態は相関性があります。現代医学で解明できているとは言い難い症状でも、日常生活を見直すことにより、頭痛が解消されることがあります。「薬物乱用頭痛」になっている方は、日常生活の改善が必要ではないかと思います。

代表的な頭痛の一つに、慢性緊張型頭痛があります。後頭部に痛みがある場合、その原因の多くは、肩こりです。眼の酷使、運動不足や寝不足の人に良く見られる症状です。テレワーク中の方に急増している症状ですが、睡眠や運動を十分行い、定期的に目を休ませることで、後頭部痛は解消される場合があります。痛みが出始めたら、鎮痛薬を飲む前に、まず運動してみてはいかがでしょうか。痛みが強い時は、蒸しタオルを痛いところに2~3分当て、その後乾いたタオルで汗を拭き取ることも有効です。強い緊張から痛みが出ているとき、凝っている部分を揉むと、却って痛みが強くなる場合があります。痛みが強いときは、揉む・シップを貼る・入浴することが、症状の悪化を招く三大要因です。衣服や室温に気を付けて、身体が冷たくなっていないか、注意してみていただきたく思います。鎮痛薬をやめると頭痛がひどくなるか心配でやめられないという方は、まず生活の見直しが助けになると思います。

頭痛を解消するために日常生活をチェックしましょう 自宅で出来ることは?

日常生活を営む上で、運動、睡眠、休養、食事、社会環境はとても大切です。 健康を維持するためには、

●運動…毎日5分程度運動する・週1回1時間以上運動する ●睡眠…毎日7時間半から8時間寝る ●休養…1時間の労働・活動をしたら5分から10分休憩する ●食事…規則正しい時間に食事する・22時以降飲食を控える ●社会環境…日当たりの良い場所にいる・室温を28度程度に保つ

が基本的な目安になります。日常的に頭痛を感じている方は、是非実践してみていただきたく思います。その他のことについて、JIJICO内に数多くコラムで紹介しています。

「朝風呂や朝のシャワーは自律神経のバランスに影響?入浴で気を付けるべき習慣とは」 https://mbp-japan.com/jijico/articles/32065/

「免疫力アップに必要な体温維持。ウィルス対策に最適な室温維持と暖房機器の使い方、運動など」 https://mbp-japan.com/jijico/articles/32089/

「就寝中のクーラーは体調不良を引き起こす?体温低下が招く危険性とは」 https://mbp-japan.com/jijico/articles/32171/

上記内容を参考にして、健康維持にお役立ていただきたく思います。忙しい生活を送っている現代人には、難しいことかもしれませんが、鎮痛薬に依存しない生活を送るために、是非お試しいただきたく思います。2週間以上継続しないと、効果は実感できません。毎日できなくても、1週間に4~5日、約4週間実践すれば、頭痛は少しずつ発症しなくなると思います。

一次性頭痛の解消や離脱症状の改善に鍼灸治療が有効

  頭痛は、鍼灸治療で改善している症例が数多く学会で発表されています。市販の鎮痛剤を数日飲んでも良くならない場合、何か疾病が潜んでいないか専門医を受診する必要があります。一次性頭痛と診断されたら、薬物治療以外の治療法として、鍼灸治療も挙げられます。実際、片頭痛や緊張型頭痛に鍼灸治療が有効であることは、『慢性疼痛診療ガイドライン』(2021年6月30日発行)でも示されています。薬物乱用頭痛は、服用している薬を直ちに全部やめることが治療の一つとして示されています。鎮痛薬中止後24~72時間に、頭痛の悪化、悪心・嘔吐、低血圧、頻脈、睡眠障害などの離脱症状を生じる場合がありますので、鎮痛薬中止は自分で判断せず、主治医がいる場合はその指示に従う必要があります。この症状は、2日から10日くらい続くようですが、離脱症状を軽くするか起きないようにするため、鍼灸治療は有効です。お近くの鍼灸院や鍼灸師が勤務する医療機関にご相談ください。また、日常の生活を見直すことにより、頭痛の軽減が期待できます。清野が呼称する養正(ようせい)治療(運動・ヨガ、生活指導)は、日常生活の健康指導です。ご興味がおあり方は、清野鍼灸整骨院ホームページ内にある「くらしと養生」をご参照いただき、東洋医学に基づく養生法を実践頂きたく思います。

(清野 充典/鍼灸師)

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