新型コロナウイルスの影響による休校によって、子どもたちが交通事故の危機に面している現状です。不慮の事故が起きる前に、今すぐできる事故防止対策を紹介します。
■子どもの交通事故が多発、原因は交通量が「減った」から?
新型コロナウイルスの影響により、全国の小中学校で休校が実施されている現在、子どもたちが交通事故の危険に晒されています。今回は、コロナによる交通事故多発の要因や幼い命を守るためにできる取り組みについて紹介していきます。
警視庁の「子どもの交通事故防止関連 子ども交通安全情報」では、緊急事態宣言の発令に基づいて以下のようにアナウンスされています。
「緊急事態宣言が発令されて以降、都内の交通量は減少し、交通事故発生件数と負傷者数は2019年に比べ減少傾向となっていますが、都内では子供が犠牲となる悲しい交通事故が後を絶たず、とくに“横断歩道を横断中”に事故に遭うケースが目立ちます」
実際に、2020年4月9日に神奈川県の川崎市では、平日の正午に小学校3年生の男児が自転車で公園に向かう途中、乗用車にはねられて意識不明の重体となりました。
川崎市内では新型コロナウイルスによる休校が続いており、思いがけない時間帯による子どもの出没が事故の原因に繋がったと考えられています。
さらに、5月7日に東京都の江戸川区では、中学校1年生の男の子が自転車で横断歩道を渡ろうとしたところ、ワゴン車にはねられて死亡する事故が発生しました。
休校が開始された3月から4月にかけて、都内だけでも高校生以下の小さな子どもによる事故が約181件ほど報告されているとのことです。
しかし、緊急事態宣言による不要不急の外出が減っているため、交通量そのものは減少しており、事故件数は減少傾向にあります。
事故件数が減少傾向にも関わらず、子どもが被害に遭う重大な事故が増えているのはなぜなのでしょうか。
その背景には、交通量が減ったことによる「スピード違反の増加」が関係しているとされ、閑散とした道路になると思わずスピードを出しやすくなることが要因だといえます。
実際に、東海テレビでは、緊急事態宣言以降のスピード違反検挙率が前年度と比較して200件以上増えていることを報じました。
スピードが増加すればするほど、死亡事故へ繋がる可能性は高くなります。過去に警視庁がおこなった「危険認知速度分析」によると、時速50kmを超えた時点から死亡事故の件数が急激に増えはじめ、時速90kmを超えると致死率は50%近くにまで上昇します。
つまり、交通量が減ったことでスピードが速くなり、スピードが上がったことで死亡事故が増加している、と考えられます。
普段どおりの運転しているだけでも、無意識のうちにスピードが上がっている可能性もあります。いつもの道でも、いつも以上に注意を払って走行するように心がけましょう。
とくに、学校や公園などのエリア付近では注意が必要なほか、コロナによる休校によって平日の思いがけない時間帯に子どもが飛び出してくるケースも考えられるため、一層の注意が必要です。
■コロナ禍による子ども交通事故を防止するために取り組みたい心がけ
子どもの事故防止対策として、警視庁では保護者に対して以下のような方法を推奨しています。
まず、「安全行動の習慣化」です。
小さな子どもは、大人のように状況に応じた判断ができず、信号が青に変われば一目散に飛び出してしまう子もいます。
そして、保護者がよく使う「注意しなさい」「危ない」といった曖昧な表現になると、子ども側は何を注意するべきなのか理解することができません。
基本的な交通ルールやマナーを守ると同時に、信号が青でも右左を確認したり、道路には飛び出さないといった安全行動を常に心がけるべきとしています。
また、子供は大人の動きをよく見ているため、保護者が子どもに「正しい手本を示す」ことも大切であるとしています。
正しい手本とは、遠回りでも横断歩道を渡ったり、横断禁止の場所を渡らないことなどが挙げられています。
さらに、交差点などでは「手をつなぐ」ことも推奨されています。
とくに幼い子どもは、ひとつのことに対して夢中になると周りが見えなります。そのため、周りを確認せずに道路へ飛び出したりすることもあるでしょう。また、気分によって行動が変わるため、急に走り出すことも少なくありません。
予測できない子どもの動きに対して咄嗟に対応できることから、手を繋ぐことが安全行動のひとつとされているようです。
保護者ができる取り組みには、子ども目線で交通状況を把握することです。大人の目線で安全だと判断しても、子どもの視点では大きく変わります。
同じ目線に立ってあげることで、危険性を再確認することができるでしょう。実際に、子どもがよく利用する公園や通学路などを一緒に歩きながら、具体的な説明を交えて交通ルールを教えてあげてください。