ミニバンやSUVを中心に人気装備となっている「電動開閉式リアゲート」。スイッチひとつで重いリアゲートを開閉できる便利な機能ですが、意外にもトラブルが発生することがあるようです。リアゲートが閉まらなくなったり作動しなくなった場合、どうしたらよいのでしょうか。
■便利な「電動開閉式リアゲート」意外とトラブルが多い!?
クルマのドアの電動化は、ミニバンに装着されているスライドドアからはじまったといえるでしょう。
日本の場合、タクシーの乗降で自動ドアが1964年の東京オリンピックをきっかけに普及したことを考えると、ドアを自動で開閉できるのは便利だという認識が強いのかもしれません。
便利な電動スライドドアですが、リアゲートも電動で開閉できる「電動開閉式リアゲート」を採用する車種が増えています。
荷物で手がふさがっているときでもスイッチひとつで開閉でき、ミニバンやSUVの重いリアゲートを持ち上げる必要がないことから、人気の装備として普及が進んでいます。
しかし、電動開閉式リアゲートは、ちょっとしたことで開け閉めができなくなったり、ロックされなくなるというトラブルが発生することがあるようです。
どのような状況でトラブルが発生しやすいのでしょうか。秀自動車(栃木県宇都宮市)の整備士 高島氏は次のようにいいます。
「ミニバンに乗っているお客さまで、パワーリアゲートを閉めるときブルーシートを挟み込んでしまい、そのあとはスイッチを押しても作動せず、ドアのロックまでできない状態になったとのことでした。大きいものや硬いものなどを挟んだならともかく、薄いシートが誤動作を引き起こしたようです」
その後、ディーラーへ持ち込み症状が改善。ディーラー曰く「ECUにエラーコードがついてしまったので初期化が必要」とのことでした。
また手動でリアゲートを数回使用したあと、スイッチを押しても機能しなくなったユーザーもいたといいます。その場合も各部に故障は見られず、結局ECUの初期化で症状は改善したそうです。
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電動開閉式リアゲートではちょっとしたモノを挟み込んだだけでも誤動作につながるケースがあるようですが、同じく電動で動くスライドドアについては、閉まらなくなるというトラブルはないのでしょうか。
「電動リアゲートのトラブルは複数ご相談いただいたことはありますが、スライドドアに関しては電動式でも同様のトラブルは聞いたことがないです」(高島氏)
■自分でできる応急処置はあるけれど…
電動開閉式リアゲートが閉まらなくなる不具合ですが、その原因がECUの誤動作だけならまだしも、部品点数が多い部分だけに一概にそうともいい切れないのが難しいところです。
「リアゲートの電動化にあたり、内蔵される電動モーターやドアロックモーター、配線やヒューズ、トランクオープナー内部の部品など、どれが故障したかの判断が難しいところです。ただ、急に開閉できなくなったりスイッチが反応しない場合は、まずECUのエラーコードを疑ってください」(高島氏)
ECUの初期化はキャリブレーションというのですが、専用の機材があるディーラーや販売店、整備工場でしかできないということです。
パワーリアゲートが閉まらなくなった場合に、自分でできる対処法はないのでしょうか。
応急処置として、以下のような手順があります。
1.リアゲートを手動で全開にする
2.ボンネットを開け、バッテリーのマイナス端子を外す
3.しばらく時間をおき(5分から10分)、マイナス端子を再接続
4.バックドアを閉め、10秒程度キープ
5.エンジンを始動させ、リアゲートの警告灯がついていないかなどを確認
6.ドアロックをかけてみる
この手順で復旧するケースもあります。警告灯などが点灯しなければほぼ初期化状態になっていますので、そのまま走行することは可能です。
ただし、この対処法はあくまで暫定的なものであると認識してほしいと高島氏はいいます。
ECUの不具合以外のトラブルでも初期化状態になってしまうため、逆にトラブルを特定することが難しくなることも想定されるため、ディーラーなどに持ち込んでチェックしてもらうことをオススメします。
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リアゲートがしっかり閉まらなかったりロックできないのは、安全に関わる部分でもあり、そのまま走行するのは危険です。
電動開閉式リアゲートを利用するときは、スイッチを押す前に物が挟まっていないことを確認して開閉するようにしましょう。