なぜ車の「サンルーフ」減った? 昔は「あこがれの装備」なのに… 装着するとデメリットも? 近年は「ガラスルーフ」が増加に
くるまのニュース / 2024年4月27日 12時0分
かつては「サンルーフ」が設定されているクルマが多くありましたが、現在では減少しています。一体なぜなのでしょうか。
■かつて定番の「サンルーフ」なぜ減った?
クルマに備わるさまざまな快適装備があるなかで、ルーフ(屋根)の一部が開く「サンルーフ」装着車を好んで選ぶという人もいるでしょう。
しかし、近年ではサンルーフの設定が減ってきている傾向にあるのです。
サンルーフはルーフの一部が開閉構造となっており、車内の空気が吸い出されて換気ができたり、車内に日差しを取り入れられるだけでなく、乗員が手軽に開放感を味わえる人気の装備です。
一般的にはサンルーフと呼ばれていますが、ムーンルーフ、スライディングルーフなどの名称を使用しているメーカーもあります。
上級クラスのモデルでは標準装備として備わるケースもありますが、多くが新車時に選択するメーカーオプションで設定されており、十数万円程度と比較的高価なオプションのひとつです。
国産車では、手動式が1968年登場のホンダ「N360」に初めて採用され、モーターによる電動式は1978年登場のホンダ「プレリュード」で初採用されたといわれています。
一部の車種ではサンルーフの可動部が窓になっている「ガラスサンルーフ」を採用しており、シェードを格納すれば窓を閉じた状態で光を取り入れることができます。
特に、1980年代からはバブル景気によるクルマの装備の充実化といったことや、いわゆる「デートカーブーム」などから人気の装備となり、憧れの装備として知られていました。
しかし、2000年代以降では一部の上級モデルを除き、サンルーフを標準装備したり、メーカーオプションとして用意するクルマは減少傾向にあるようです。
この背景には、換気というサンルーフの目的に対し喫煙者が減少していることや、安全性向上のためにルーフ強度を高める必要があること、低燃費化を目指して重量のあるサンルーフ機構を廃し、軽量化する必要があることなど、様々な要因があるとされています。
そして近年では、先進安全装備の強化や電動化など、クルマの高機能・多機能化していることから新車の車両本体価格が上昇している傾向にあります。
そうしたなかでオプション装備を選ばず価格を抑制したいユーザーがサンルーフを選ばないという指摘もあるようです。
一方、近年はサンルーフに代わる新たな装備が登場し、採用される新車も増えています。
パノラマルーフ(パノラミックルーフ、ガラスルーフとも)は、ルーフの大面積をガラスとしたもので、日差しを取り入れることができ、天井に開放感が生まれることはサンルーフと同様ですが、ガラス自体の開閉機構を持ちません。
2020年6月に発売されたトヨタのミディアムSUV「ハリアー」現行型では、先代では開閉できるサンルーフを装備していましたが、現行ではガラスの透過を切り替えられる「調光パノラマルーフ」がオプションで設定されています。
また、2023年1月に発売されたトヨタ「プリウス」も同様に、先代ではサンルーフでしたが現行では後席まで広がる大型のパノラマルーフがメーカーオプション設定されています。
開閉できないパノラマルーフですが、そのぶんフロントシートからリアシートまで、大きなガラスエリアを持たせることができ、大きな特徴となっています。
パノラマルーフの装着に関して、国産ディーラーの販売スタッフは過去の取材で次のように説明しています。
「当社のクルマでパノラマルーフを付けられるのは上級グレードがほとんどです。また装着を希望するお客様の多くは『開放感が欲しい』という理由から付けられているようです」
また、中古車販売店のスタッフは以下のように話しています。
「パノラマルーフやサンルーフを装備しているクルマは流通台数が少なく、高値で販売されています。
そのぶん乗り換えや下取りに出す場合、お乗りのクルマにパノラマルーフやサンルーフが装着されていると、買い取り査定ではプラスの評価になり、新車のオプション価格と同じ程度加算されるケースもあります」
■装着すると「デメリット」も?
車内にいながら日差しを取り入れたり、開放感を感じられるサンルーフやパノラマルーフは、特に春頃では花見も可能で、満足感の高い装備だと言えます。
しかし、装備することによるデメリットもあるようです。自動車整備工場の整備士は以下のように話します。
「サンルーフ装着車の場合、モーターが故障すると開閉動作ができなくなってしまいます。
閉まった状態で故障すればまだ良いのですが、開けた状態で閉められなくなってしまうと雨漏りが起きたり、密閉性が確保されません。また、水抜き穴が詰まることで、完全に閉じているのに雨漏りするケースもあります。
パノラマルーフに特有なものとしては、ひょうや雪塊などの落下物で割れてしまう危険性もあります。いずれのケースでも室内の天井やカーテンエアバッグなどを外す必要があるので、高額な修理となってしまうでしょう。
さらに、サンルーフとパノラマルーフのどちらにもある故障ですが、電動シェード(薄い日除け)を装備するクルマで、シェードのモーターやシェード自体がうまく機能せずに巻き込んでしまい故障するケースもありました」
デメリットも理解したうえで選ぶとよい
このようにサンルーフやパノラマルーフを装備することに起因する故障もあり、ガラスルーフではその修理費用は特に高額になることも多いようです。
また、ガラスの性能が向上し、断熱や紫外線カットといった機能が採用されているとはいえ、直射日光が注ぐという点から、夏場の炎天下などでは暑さを感じやすいことを指摘する意見もSNSなどでは見られます。
さらに、サンルーフやパノラマルーフ時自体も高額なオプションである点もデメリットだと言えます。
花見や星空を眺めたり、寒い季節に日差しを取り込んで車内を暖めるなど、様々なメリットもあるサンルーフ・パノラマルーフですが、クルマを選ぶ際はメリットとデメリットの両方をよく考えた上で選択したほうが良いでしょう。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
トヨタがゴツい新型「クラウン」実車展示! 車高アップの「LANDSCAPE」 さらに24年発売の「ESTATE」も!? 新たなクラウンに注目
くるまのニュース / 2024年4月30日 17時40分
-
アンダー320万円から! トヨタの「高級SUV」何がいい? 登場4年でも人気継続!「ハリアー」の反響は?
くるまのニュース / 2024年4月30日 10時10分
-
ノンジャンル220台のマニアック車が集合…第15回自美研ミーティング
レスポンス / 2024年4月24日 19時0分
-
スバル フォレスター Advance、アクティブにより使いやすく…利便性と安全性が向上[詳細画像]
レスポンス / 2024年4月14日 14時45分
-
アンダー200万円! イチバン安い「新車のミニバン」はどれ? 国産車ではダントツ「超リーズナブルモデル」は“必要にして十分”だった
くるまのニュース / 2024年4月11日 10時10分
ランキング
-
1「スナップえんどう」の筋取りが、お家にあるアレを使うだけで簡単キレイに!驚きのアイデアに「目からウロコ」「見ていて気持ち良いー!」
まいどなニュース / 2024年5月6日 15時45分
-
2年収は「130万円」と「140万円」のどちらが損ですか? 夫の扶養に入っていますが、実際の手取りはどのくらいになるでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月6日 4時30分
-
3外国人観光客向け「二重価格」は海外にも存在するが……在欧日本人が経験した「三重価格」の塩対応
オールアバウト / 2024年5月7日 18時30分
-
4PTA活動でおなじみ「ベルマーク」ってなに? 集めるとどうなるのか解説
マイナビニュース / 2024年5月8日 7時0分
-
5クルマのホイール「アルミ」と「スチール」どっちがいい? 足元を支える“重要パーツ”のメリット・デメリットとは?
くるまのニュース / 2024年5月7日 17時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください