タイヤは、夏や冬などの各シーズンに合わせて、それぞれ適切な特性を持ったものに履き替える必要があります。とくに、冬タイヤの場合は積雪前に履き替えておく必要がありますが、適切な購入・交換の時期はいつなのでしょうか。
■早めの冬支度で、タイヤコスト節約?
夏が終わり秋になると急激に気温が下がってきます。また、地域によっては10月にはちらほらと降雪することもあり、冬タイヤへの履き替えを検討する時期です。
実際のユーザーは、天気予報などで降雪予報が出始めるタイミングで履き替えする傾向にありますが、冬タイヤへの適切な交換タイミングはいつなのでしょうか。
例年、降雪する地域以外のユーザーは「年に数回しか降らない雪のために何万円も払いたくない」と考えている人も少なくありません。
しかし、都市部でも1月や2月には数十cm以上の積雪を記録することもあり、そのような状況となれば、夏タイヤはもちろんのことオールシーズンタイヤでも不安な場面も出てきます。
また、降雪に不慣れな地域の場合、降雪予報が出ると同時に多くのディーラーやカー用品店で冬タイヤの購入や交換が多くなり、自分の欲しいサイズが無くなることや、交換作業を受け付けてくれない可能性も出てくるのです。
そのため、可能な限り適切な時期に冬タイヤへの交換が推奨されますが、冬タイヤの購入や交換はどの時期が適切なのでしょうか。
最近では、タイヤメーカーやカー用品店など「早めの冬支度」を呼びかけています。
実際に、カー用品店の店頭には早ければ9月頃に冬タイヤが陳列されており、まだ秋の気配を感じる前からタイヤの買い替えを推進する店舗もあります。
都内にあるタイヤの販売店の担当者は、次のように話します。
――早めの交換を促す理由について教えてください。
9月など早めの時期に買い替えをおこなうメリットとして、さまざまな冬タイヤの種類から自分にあった物を選べるほか、『早割』などの割引によって真冬よりもお得に購入出来る場合があります。
また、雪が降りはじめるギリギリのタイミングになると、スタッドレスタイヤの購入・交換を希望されるお客さまが増えることで、必要なときに冬タイヤを装着出来ないかもしれません。
なお、冬タイヤは夏タイヤに比べて1.5倍程度の価格帯となっており、決して安いものではありません。なるべく購入コストを下げるためにも、割引が適用されるタイミングでの買い替えをおすすめします。
――適切な交換時期を教えてください。
東京の場合は、11月後半から12月のタイミングがベストです。例年の天気予報では、12月頃からポツポツと雪が振り始める地域もあるため、雪が降る1か月前を目処に準備しておくことをおすすめします。
また、北陸や東北地方といった寒い地域では、10月から11月あたりに雪が降りはじめることもあるので、遅くても10月前半には買い替えが必要です。
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ブリヂストンによると、新品のスタッドレスタイヤを購入した場合、時速60km/hで200km程度を目安に慣らし運転をするのが望ましいと説明しています。
慣らし運転をおこなうことで、冬タイヤの表面に付着した油や汚れを取り除き、路面と接するトレッド面が均一に設置できるため、本来の機能を促すことができます。
■冬タイヤはいつ購入するのが良いのか?
冬タイヤへの交換時期は、地域によってことなりますが、購入に関してのタイミングはどうなのでしょうか。
前出の担当者は、次のように話します。
「冬タイヤは、9月の段階から新しいタイヤの生産を開始するため、新しいものが店舗へ並べられるのは11月後半から12月になります。雪の多い地域では、9月後半から10月です。
ただし、東京でも9月から10月を目処に、冬タイヤが店舗に用意されはじめます。この時期から展開されるタイヤは、おもに古い型がメインです。したがって、最新の冬タイヤが欲しい際には、11月後半の買い替えをおすすめします。
しかし、古い型の冬タイヤであっても、その性能が落ちるといったことはないため、よりコストを抑えたいという人にはおすすめです」
また、夏場の間に保管していた冬タイヤに履き替える場合は、いくつかの点検をおこなうことが大切です。
まず、はじめに空気圧をチェックします。スタッドレスタイヤを使用していない期間であっても、空気圧は自然に減少します。
空気圧が低くなると燃費が悪くなり、かえって高くすぎても性能を十分に発揮できません。そのため、適正空気圧であるかどうかを事前に確認することが大切です。
続いては、タイヤの減り具合についてです。スタッドレスタイヤの場合、溝の深さが新品の半分まで摩耗してしまうと本来の機能を発揮できなくなります。
次に、タイヤの硬度もしっかりと確認しておく必要があります。スタッドレスタイヤのゴムは、凍結路面に密着してグリップ力を発揮することから柔らかいのが特徴です。
ゴムが硬くなってしまうと、十分に溝があってもタイヤ本来の効果を発揮できなくなります。そのため、硬度計のあるタイヤ販売店やカー用品店でチェックしてください。
最後に、タイヤを保管場所や方法に気を配る必要があります。直射日光や雨が当たる場所を避けるほか、油類や熱源などの近くに保管すると危険です。
そして、タイヤ・ホイールをセットで保管する場合は、横に置くことを意識することで、接地面の変形を抑えることができます。