軽自動車と普通車では高速道路の利用料金は異なります。では、軽自動車で登録したETC車載器を普通車で使用するとどうなるのでしょうか。
■ETCキセルは刑事罰に?実際に逮捕例も
近年、高速道路料金の支払いにおいて「ETC」を利用する人が93.1%(2021年3月)を占めるようになりました。
軽自動車と普通車での高速道路の通行料金は異なりますが、軽自動車で登録したETC車載器を普通車で使用するとどうなるのでしょうか。
ETCの利用者が増加している一方で、「軽自動車として登録されたETC車載器を普通車で利用する」という悪質なドライバーもいるようで、その行為は「ETCキセル」などと呼ばれています。
車種などのクルマの個別情報は、ETCカードを差し込む「車載器」に登録されています。
そのため、車載器に登録されている個別情報に変更があった場合は、セットアップし直さなければなりません。
なお、ETCカードは特定のクルマと紐づいているわけではなく、どの車載器で使っても問題がありません。
NEXCO中日本によると、クルマのナンバープレートを変更したり、車載器をほかの車両に付け替えたりするなど、車載器の登録情報に変更が生じた場合は販売店などで再セットアップの手続きが必要としています。
そして、登録情報に変更があったにも関わらず車載器の再セットアップをおこなわなかった場合は、道路整備特別措置法の第24条第3項に違反したとして、逮捕される可能性があります。
2020年7月22日、東名高速道路などのETCレーンにおいて、不正通行をおこなっていたドライバーが、道路整備特別措置法違反の容疑で送致されました。
容疑者は、通行料金の安い軽自動車などで登録されたETC車載器を普通車に取り付けて走行し、本来支払うべき支払いを不法に免れていたため、NEXCO中日本側が静岡県警察に通報したことがきっかけとなり、送致に至ったとのことです。
ETCキセルについて、NEXCO中日本の担当者は以下のように述べています。
「当社はこれまでも、有料道路事業に対するお客さまの信頼を損ねることがないよう、『不正通行は許さない』という強い姿勢で取り組んでまいりましたが、今般、容疑者が送致されたことは、通行料金負担の公平性の確保および不正通行抑止につながるものと考えています。
なお、本件容疑者による不正通行については、通行料金の確認をおこない、不法に免れた通行料金に加えて割増金(免れた通行料金の2倍に相当する額)を請求します。
今後も不正通行に対し、毅然とした態度で臨むとともに、警察の捜査に積極的に協力し、不正通行対策に取り組んでまいります」
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NEXCO各社は不正通行の注意喚起に力を入れており、地元警察との連携や防犯カメラの設置などを徹底しています。
■他にも多発するETCでの不正は、重い罰則が待つ
ETCキセル以外にも高速道路料金に関連した不正行為は後を絶ちません。
2021年4月には、大阪府にてバイクで通行料金を支払わずにETCレーンを突破したとして、会社員の男性が道路整備特別措置法と道路運送車両法違反の疑いで逮捕されました。
男性は、3年ほどの期間で200回以上繰り返したと話しており、該当区間の通行料金はおよそ1000円なので、金額にすれば20万円にものぼります。
また、2021年2月にも、阪神高速道路において、ETCレーンを不正に通行した男性ドライバーが、道路整備特別措置法違反の容疑で兵庫県警に逮捕されました。
兵庫県警などによると、男は前方車両にピッタリと追走してバーが降りる前に通過する「カルガモ走法」と呼ばれる不正を計600回以上繰り返していたことが判明。懲役3年、罰金30万円がいい渡されました。
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これらの逮捕には、各高速道路会社の「不正を許さない」という取り組みや、一般ドライバーからの通報がきっかけになっているとのことです。
なお、もしETCカードの挿し忘れやレーンの誤進入などにより、ただしく通行料金の支払いができなかった場合でも、近くのサービスエリア・パーキングエリアなど安全な場所から、管轄の高速道路会社に連絡をすることで後からの支払いが可能です。