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【袴田さん再審】検察弁護双方証人尋問2日目「5点の衣類」は犯行着衣か?最大争点めぐる審理(静岡地裁)

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) 2024年3月26日 19時34分

袴田巌さんの再審=やり直しの裁判の公判で、犯行着衣とされる衣類の血痕の色をめぐり、25日から検察側、弁護側双方の証人尋問が行われています。5点の衣類は、犯行着衣なのか?最大の争点をめぐる審理が展開されています。

1966年、旧清水市で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん。

2023年10月から始まった再審公判で、検察側は「犯人はみそ工場関係者の袴田さんで、犯行着衣の5点の衣類をみそタンクに隠した」などと袴田さんの有罪を主張。

一方、弁護側は「5点の衣類」が、事件から1年2か月後にみそタンクから発見されたが、衣類についた血痕に「赤み」が残っていて不自然と主張。独自のみそ漬け実験や、専門家の鑑定書をもとに「血痕は1年以上みそ漬けすると黒くなる」と訴え、赤みのある血痕がついた衣類は「袴田さんを犯人にするために捏造された証拠だ」と訴えています。

最大の争点となっている、血痕の色の問題。25日の証人尋問には、検察側が請求した法医学者2人が出廷。

共同鑑定書を作成した1人の神田教授は、5点の衣類の血痕に、赤みが残る可能性について「否定できない」と話し、再審開始を認めた2023年3月の高裁決定も「科学的なリテラシーがない」と批判しました。

一方、池田名誉教授は、弁護側の鑑定書について「1年2か月みそ漬けされた血液が黒く変色することは常識」 と、弁護側の主張を肯定しつつも「血痕に赤みが残る可能性の検討が不十分」と指摘しました。

検察側の証人尋問を受け、弁護側は25日…

(弁護団 小川 秀世 弁護士)

「検察が『赤みが残る可能性がある』それで終わりにしようということがおかしい。可能性があるとかないとかは、何ら問題にならないと確信している」

弁護側は「検察側が、血痕の赤みが残ることを立証できなければ反証としては不十分だ」と指摘しました。

(袴田 ひで子さん)

「あいまいな返事ばかりでなんだかおもしろかった。学者さんなのでそういうものか、慎重だった。5点の衣類が赤くなるか、茶色くなる、黒くなるか、それは分からないでしょう」

26日は、証人尋問の2日目。

(杉本 汐音 記者)

「11回目の公判に向け、袴田さんの弁護団らが静岡地裁へと入ります」

26日は、弁護側が請求した法医学者ら3人の証人尋問が行われました。

26日の審理では、弁護側が請求した法医学者旭川医科大学の清水惠子教授と奥田勝博助教、物理学者北海道大学の石森浩一郎教授のあわせて3人が出廷。弁護側の鑑定書を作成した清水教授と奥田助教は「1年以上みそ漬けされた場合、 血痕に赤みは残らない」と改めて主張。体外に出た血液が酸化して赤みを失い、黒色となるのは普遍的な科学現象と指摘しました。

また、みそタンク内の酸素濃度などが考慮されていないという検察側の指摘について、清水教授は「タンクに味噌が入れられるまでに、血痕が変色するには十分な酸素に触れている。また、味噌タンクの中は酸素が乏しいが、変色するには十分である」などと反論しました。

意見が対立する中、証人尋問3日目となる27日は、検察側、弁護側の法医学者らに対し同時に尋問が行われます。

(スタジオ解説)

この裁判の最大の争点となっている犯行時のものとされる着衣の血痕の色について確認します。弁護側、検察側双方で意見が分かれています。

血痕が付いた衣類を長期間みそ漬け実験するというのは、それぞれ独自にやってきています。その中で弁護側は、血痕は黒くなると主張、着衣自体は発見直前にみそタンクに入れられたため赤みが残っているということでねつ造であると主張しています。一方の検察側は、血痕に赤みが残ることはあると主張しています。再審開始を決めた東京高裁は、弁護側の主張を認めています。こうした流れがあるなかで、検察側の証人尋問が25日に行われました。確認します。証人は2人いますが、1人目です。長期間みそ漬けされた血痕に赤みが残らないのは常識とした一方、みそタンクの底は特殊な環境で、赤みが残らないかは疑問というとです。2人目です。赤みというのは見た人の主観というのがあってあやふやなもので、赤みが残らないと証明するのは科学的に不可能、一例でもあったらだめになるという話をしています。両者ともに共通しているのは、弁護側専門家の検証が不十分だと指摘しています。

Q:25日に行われました検察側の証人の証言についてはどのように思われますか?

(増田 英行 弁護士)

「みそタンクの底は特殊な環境で、赤みが残らないかは疑問というのは科学者の知見としてはその通りかなと思うのですが、検察側の有罪立証としてみた場合には、赤みが残らない条件を具体的に特定して、それがみそタンクの環境と合致するんだというところまで踏み込んで主張、立証しないとだめなのではないかなと思います。

Q:この立証というのはこの事件ではできて…?

(増田 英行 弁護士)

「(立証)できていないと思いますね」

Q:その根拠を示せていないことが、この再審公判にどう影響するのでしょうか?

(増田 英行 弁護士)

「これはあくまで検察側の有罪立証ということになりますので、裁判官としては有罪立証が不十分という心象が働くのではないかというふうに思いますね」

そして26日は、弁護側の専門家の証人尋問が行われました。その内容です。

弁護側の専門家の証人尋問を整理していきます。

まず、1年以上みそ漬けされた血痕に赤みは残らない…これは一貫して主張してきていることです。一般論として、血液は酸素に触れると黒くなるということで、酸素が一つキーワードになっているんですが、みそタンクの中という特殊な条件ではあるのですが、衣類は麻袋に入れられていて酸素があった、黒く変色するのに十分な酸素があったというふうに証言しています。そもそもタンクにみそが入れられるまでに酸素に触れているなどと話しています。

そして最終日の27日ですが、両者の専門家への尋問が行われます。

Q:増田さん、どのような点が注目されますか?

(増田 英行 弁護士)

「先ほど申し上げたように、検察としては有罪とするために、赤みが残る条件、その可能性があるんだということを専門家に言わせたいわけですので、そういった点に集中して質問するのではないかと思います」

Q:一方の弁護団のほうはどうでしょうか?

(増田 英行 弁護士)

「弁護団の方は、逆に自分たちは有利な立場にあると考えていますので、検察側の質問に対して破綻しないように、そこを補強していく、なんとか崩れないような質問をしていくのではないかと思います」

Q:重要な局面を迎えますが、27日は双方の証人に同時に尋問する、その意義というのはどこにあるのでしょうか?

(増田 英行 弁護士)

「複数の証人に在廷してもらって、質問するというのは珍しいことではあるんですが、同じ質問を複数の証人に同時に問うことによって疑問点が解消しやすいと、そういうメリットがあります」

Q:裁判所が判断しやすくなると?

(増田 英行 弁護士)

「その通りです」

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