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【袴田さん再審】大詰め迎えた裁判13回目公判は“犯行着衣”とされる衣類の血痕「DNA型鑑定」審理…若狭弁護士が解説(静岡地裁)

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年4月17日 18時36分

Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

大詰めを迎えた、袴田巌さんの裁判のやり直し=再審。17日、静岡地裁で開かれた公判では、犯行着衣とされる衣類についた血痕の「DNA型鑑定」について審理されました。

1966年、旧清水市で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん。2023年10月から始まった再審公判で最も重要な証拠となっているのが犯行着衣とされている「5点の衣類」です。検察側は「犯人はみそ工場関係者の袴田さんで、犯行着衣の5点の衣類をみそタンクに隠した」などと袴田さんの有罪を主張。一方、弁護側は「5点の衣類」が事件から1年2か月後にみそタンクから発見されたものの衣類についた血痕に「赤み」が残っていて不自然と主張。独自のみそ漬け実験や専門家の鑑定書をもとに「血痕は1年以上みそ漬けすると黒くなる」と訴え、赤みのある血痕がついた衣類は、「袴田さんを犯人にするために捏造された証拠だ」と訴えています。

17日 朝、公判のため、裁判所に向かう袴田さんの姉ひで子さんは…。

(袴田 巌さんの姉・ひで子さん)

「この裁判が始まってから早く裁判が終わればいいと思っていた」「やっとこれで5月22日に結審でいちよ裁判が終わってくれることがありがたい」「いつまでもいつまでもずるずる伸びていたら踏ん切りがつかないから」*

13回目となった再審公判。

(佐野 巧 記者)

「審理は終盤を迎える中、ひで子さんら弁護団が裁判所へ入ります」

17日は、主に犯行時に着ていたとされる衣類についた血痕が「袴田さんのものと一致しない」とした弁護側鑑定人のDNA型鑑定について弁護側が主張しました。このDNA型鑑定は2014年に静岡地裁が再審を認める決め手となった証拠の1つですが、2018年、東京高裁は血痕以外のDNAを検出した可能性を否定できないとして静岡地裁の決定を取り消しに、2020年には最高裁から40年以上前の試料のため劣化による鑑定の正確性のほか血液由来のDNAを検出したかを判断することは非常に困難と指摘されています。

弁護側は17日の法廷で、専門家によるDNA型鑑定は使用された機器や実験方法などから信用性は高く、血痕部分ではないところからDNAが検出されなかったことから血液由来であるなどと主張。『「5点の衣類」は袴田さんの犯行着衣ではなく、ねつ造証拠であることが科学的に裏付けられている』と改めて訴えました。

DNA型鑑定については24日の公判でも検察側の主張を中心に審理される予定で、袴田さんの再審公判は5月22日で結審する見通しです。

また、関係者によりますと5月22日の公判では被害者遺族が意見陳述を申し出ていて、検察側が書面を読み上げるかたちで処罰感情などを伝える意向とみられています。

(スタジオ解説)

あらためて17日、13回目の再審公判で審理された内容をまとめます。

17日は、犯行着衣とされている5点の衣類についた血痕のDNA型鑑定ついて審理され、弁護側は「鑑定結果は5点の衣類が犯行着衣ではなく、ねつ造されたものだと示す証拠だ」と主張しました。

詳しくみていきます。5点の衣類のうちの一つ、「白の半袖シャツ」の右袖には2か所、穴があり、さらに、着いていた血痕は、袴田さんの血液型と同じB型でした。また、逮捕後に袴田さんの上腕部に傷跡があったことから、検察は、犯行時に袴田さんが着ていたものと主張し、死刑が確定した際にも証拠の一つとなっています。

一方、弁護側は第2次再審請求審、つまり裁判のやり直しを求める2回目の審理の中で、DNA型鑑定を実施。その結果、シャツに付着した血痕のDNAは袴田さんのものではないという鑑定結果が出ました。この結果が最大の決め手となり、2014年に静岡地裁は これを新証拠として認め、「5点の衣類はねつ造された可能性があると指摘」、再審開始を決定したのです。

 その後、検察が不服を申し立て、審理は最高裁までいきますが、2020年、最高裁はDNAの量がわずかで、さらに劣化している可能性があるとして「DNA型鑑定の結果」に証拠価値はないと結論付けました。ただし、「血痕の色の不自然さ」については審理が不十分だとして高裁に差し戻しました。そして再審、裁判のやり直しに至ったという経緯があります。

そして17日の公判で、弁護側はあらためてDNA型鑑定結果は袴田さんの無実を証明する証拠だと主張。袴田さんは5点の衣類を着用しておらず、犯行着衣ですらない、よって ねつ造されたものであることを強く示唆するものだと主張しました。

17日 午後、公判は終わり、来週もDNA型鑑定についての審理が行われるということです。

(津川 祥吾 アンカー)

「若狭さんに基本的なことをうかがいますが、このDNA鑑定は弁護側が出したものですよね。証拠とされた5点の衣類の血痕が偽物なのではないか…というなかでの鑑定ですが、検察側はDNA鑑定というものをしないのですか?」

(元東京地検特捜部 副部長 若狭 勝 弁護士)

「結局ですね、最高裁において、2020年の際に、すでにこれは相当古いものであるし劣化している可能性があるから、そもそもDNA鑑定の適性がないというようなことを最高裁が言っているものですから、検察とすればそこで勝負すると、ですからつまり、DNA鑑定というようなことをやっても意味のないことですよということを最高裁も指摘しているので、検察としてはそこに踏み込まないというのが建付けなんだろうと思います」

(津川 祥吾 アンカー)

「今回の再審の議論のなかで、さきほど説明もあったと思うのですが、最高裁としてはこのDNA鑑定を証拠としては弱いのではないか、使えないのではないかという話をしつつ、『赤み』については問題があって、審理不十分、差し戻しをして、高裁でやはりこれは問題だろうという話しになって今回(再審が)始まっているわけですが、再審で早く結審していくという意味では、弁護側としてはDNA鑑定をやらない方が早く終わるのではないかと思うのですが、その点はどう思いますか?」

(元東京地検特捜部 副部長 若狭 勝 弁護士)

「ただ弁護側とするとですね、2014年に静岡地裁が再審開始決定をしたひとつの大きな根拠としては、このDNA鑑定が袴田さんのものとは一致しないというのが、ひとつの大きな論拠だった、再審開始決定を認めた。その意味においてはやはり一切触れないでというわけにはいかないということで、弁護側とするとそこは主張するということだと思います」

(津川 祥吾 アンカー)

「もうひとつだけお聞きしたいのですが、若狭さん、これを聞くと怒られるかもしれませんが、元検察官ということでお伺いしますけど、捜査関係者が証拠をねつ造するということはあり得るのでしょうか?」

(元東京地検特捜部 副部長 若狭 勝 弁護士)

「それは、通常はないです。通常はないですけれど、絶対にないかというと、捜査機関がねつ造することというのはありうるとは言えますし、そういう実際の例もこれまでにもあったことはあります」          

(津川 祥吾 アンカー)

「わかりました、次の公判は、来週24日水曜日に開かれる予定です」

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