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レディース総長と付き合った“ごく普通の男性”の末路

日刊SPA! 2024年3月8日 8時53分

 こんにちは。伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』3代目編集長をやっていた倉科典仁と申します。ティーンズロードは1989年に創刊され、90年代には社会現象に。現在は廃刊となっておりますが、そんな本誌に10年以上携わっていました。
◆新人スタッフに「取材対象者とは距離を置くように」と言ったはずなのに…

 ティーンズロード創刊後、約1年ぐらいで実売が急激に伸びてきた頃。当初たった3人だった編集部もいよいよ手がまわらなくなり、編集スタッフを募集することになったのです。

 現在は出版不況と言われて久しいですが、当時は雑誌が好調の時代で、編集者になりたいという若者もたくさんいました。そして「とりあえずは1人だけ入れてみよう」と、当時20歳の男性を採用することになったのです。

 その子(以下、Aくん)は、高校卒業後アルバイトをしていたようで、「車が大好き」ではあるものの暴走族を経験していたわけでもなく見た目もマジメなごく普通の青年でした。

 彼の教育担当は私です。取材などに行くときは必ず彼をアシスタントとして連れていき、現場での役割や立ち振る舞い、取材先である暴走族の方々に対する対応なども教えていました。

 そのとき、私はAくんに「取材対象者(主にレディース)とは、ある程度距離を置いて、個人的なお付き合いなどは避けるように」と伝えていました。なぜかと言うと、友達関係になったり、あまり親しくなってしまうと、ワガママや頼み事を言われたりして、他のチーム(暴走族)との扱いにも差が出てきたりするおそれがあるためです。

 我々の立場として、取材対象者とは平等であるべきで、基本的に誰が相手でも同じ対応をしなければならないのです(どんな仕事でもそうだと思いますけど)。

◆今までの人生で出会ったことがないタイプの女性

 そんな流れで何度となくレディース暴走族の取材に同行させ、半年くらい経ったときにAくんが「〇〇チームの総長の〇〇ちゃんって可愛いですよね」と私の前でポロッと本音を口にしたのです。

 この連載では何度かお話していますが、レディース総長は綺麗な子が多く、人をまとめる力もあったので、男性から見てもドキッとしてしまうことが多々あります。

 Aくんからすると年齢も近いうえ、今まで自分が生きてきた中で出会った女性たちとは違う“カッコよさ”みたいなものを感じてしまったのでしょう。彼が好きになった総長のチームは都内近郊にあり編集部からも1時間あれば行ける距離なので、会おうと思えば会えるわけです。

 正直、少し嫌な予感はしていたのですが、私としては「深入りするなよ」としか言えない状態でした。

◆レディース総長は恋愛においても「ハンドリングは自分」

 これは後から他の編集部員に聞いた話ですが、私が「深入りするなよ」とアドバイスした直後、Aくんはレディース総長と付き合うことになったそうです。

 仕事がないときは頻繁に彼女の地元に出かけてデートを繰り返していたとか。しかし、これも後からわかったことなんですが、彼女のお父さんは、なんと某暴力団組織の組長だったのです。もしも変な別れ方をしたらどうなってしまうのか……と思ってしまいますが、まだ20歳そこそこのAくんがそんなことを考えるはずもなく、ラブラブ街道まっしぐら状態だったのです。

 みなさんも経験があると思いますが、男女の関係って、ラブラブのときはお互いになんでも受け入れられますが、時間が経つと冷静になって、だんだん嫌な部分が見えてくるようになります。

 そうなると、やはりレディース暴走族の頭をはる彼女は自分を貫き、Aくんを振り回すようになっていきます。自分のペースにAくんが合わせてくれないとすぐ喧嘩になって、トラブルが絶えなくなったようです。

 Aくんは、完全にイニシアチブを握られてしまったわけです。編集部で仕事をしていても疲れ切った顔をしていました。

 結局、付き合って1年も経たないうちに別れてしまい、しばらくしてAくんは編集部にも来なくなってしまいました。組長である彼女のお父さんとのことはその後どうなったのか。Aくんとも連絡が取れなくなってしまったのでわからずじまいになってしまいました。

◆“レディース総長の彼氏”としてうまくいく男性の特徴

 以前、「“レディース総長”と付き合う男性に実は共通していた特徴」という記事で詳しくお話しましたが、レディース総長の彼氏は年下が多いんです。

 やはり、彼女たちにとっては、自分のペースに合わせてくれる男性=ハンドリングしやすい男性じゃなければ、付き合うのは難しいということなのだと思います。

 一方、男性からすると、相当な「広い心と覚悟」をもっていなければ、現役レディース総長との恋愛は長続きしないのです。

 もちろん、すべてのレディース総長がそんな性格だったとは言いませんが、当時から「レディースの子たちは結婚するのも早いけど、別れてシングルマザーになる人が多い」という話をよく聞きました。

 さて、令和においては、女性の立場が社会的に認められ、男性はそれに準じて女性の気持ちを理解し、お互いを尊重し合うというのがスタンダードになってきました。

 もしかすると、今の価値観の男性だったら、昭和や平成の時代にレディース総長と意外にうまくお付き合いできたのかもしれないと思ってしまう今日このごろです。

<文/倉科典仁(大洋図書)>

【倉科典仁(大洋図書)】
伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』をはじめ、改造車だけを扱うクルマ雑誌『VIP club』や特攻服カタログ『BAMBO』、渋谷系ファッション雑誌『MEN’S KNUCKLE』など、数々の不良系雑誌の編集長を務めて社会現象を起こす。現在は、大洋図書発行の実話誌『実話ナックルズ』のYouTubeチャンネル「ナックルズTV」や、ギャル男雑誌『men’s egg』をWebで復活させたYouTubeチャンネル「men’s egg 公式」のプロデューサーとして活躍中。

―[ヤンキーの流儀 〜知られざる「女性暴走族」の世界〜]―

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