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丸和運輸機関・和佐見勝の「共に成長の輪をつくる!」(第6回)

財界オンライン 2022年2月8日 11時30分

丸和ラグビー精神の基本は何か?

「丸和はすごい」――。丸和運輸機関のラグビーチーム『AZ-MOMOTARO’S』は2014年、関東社会人ラグビーフットボール連盟に登録。すると、その年に第3部で優勝して第2部に昇格。16年には第2部優勝を果たして、第1部に昇格。その翌17年には第1部優勝とまさに破竹の勢い。18年にはトップリーグ(当時、22年からはリーグワン)に次ぐトップイーストリーグ入りを果たした。

丸和運輸機関・和佐見勝の「共に成長の輪をつくる!」(第4回)

 ラグビー界でも、「丸和は勢いがあるね」と評価されるようになった。トップリーグには東芝、サントリー、パナソニックなど、大企業のチームが多い。歴史と伝統のある日本ラグビー界に、まるで彗星のごとく現れたのが『AZ-MOMOTARO’S』だ。

 21年の暮れも押し迫った12月19日、トップイーストリーグ(A、B、C、各グループの3部制)の入れ替え戦が行われた。『AZ-MOMOTARO’S』はCグループに所属。2週間前の12月5日、全勝で2シーズン連続のグループ優勝を果たした。

 同チームはBグループの『BIG BLUES』と対戦。相手はラグビー界の名門とされてきたチーム。しかし、『AZ-MOMOTARO’S』はひるむ事無く、日頃の鍛錬の成果を出し切ろうと、チームプレーに徹して対戦。この結果、60対14というスコアに象徴されるように圧勝し、グループBに昇格。

 14年、社会人ラグビー界に登場してから8年。ラグビー界の最高峰『リーグワン』入りを目指して、一歩一歩登り始め、着実に地歩を固めてきた『AZ-MOMOTARO’S』。

 和佐見がラグビー部をつくろうと思い立ったのが11年だから、そこからだと10年が経つ。

 丸和運輸機関は運送から物流企業へと成長し、さらにはロジスティクス、3PL(物流一括請負)へと事業が進化。それと同様に、ラグビー部も一歩一歩実力を蓄えてきた。そして、コロナ危機の真っ只中の21年、トップイーストリーグBグループにまで昇格。企業もラグビーも成長、発展していく。そのことに和佐見も手応えと同時に、ひと時も気を緩めることなく、前進していかねばと気持ちを改める毎日。

 思えば11年、ラグビー部をつくろうとして、各大学を訪問、ラグビー選手の獲得に動いたのだが、最初の年次に入ってくれたのは8人。ラグビーは15人で競い合うスポーツ。社会人ラグビーに登録するには25人が揃わないと活動できない。

 ようやく25人の枠を突破して、チームとして登録できたのは14年。社会人チームの中には、歴史と伝統を誇る所が少なくなく、大学ラグビーで活躍した選手はそちらに流れる。

 あとに残った選手と言うと、失礼な言い方になるが、しかし、こうした選手の中に磨けば珠になる人たちがいるということ。寸暇を惜しまず、心身共に鍛え続け、精進し続ける。そして、彼らは見事に成果をあげてきた。


和佐見勝・丸和運輸機関社長

 そうした成果をあげられた理由は何か? もちろん本人たちの努力もあるが、人と人の縁があって『AZ-MOMOTARO’S』が創部できたということである。そして、何より、『誠実』『情熱』『結束』を説いた丸和ラグビー精神をラグビー部員はもとより、関係者全員が実践してきたことだろう。いわば高い倫理観、規律、そして使命感を体得し、真剣勝負で試合に臨んだことが、結果を出してきたのだと思う。

 話は変わるが、コロナ禍2年目の21年、NHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公は渋沢栄一であった。日本資本主義の生みの親とされる渋沢栄一は『論語と算盤』を著した。論語(倫理、道徳)を伴ってこそ、算盤(収益事業)は成り立つということである。1つの仕事を成し遂げるには、その人の思想や使命感が大いに関係してくる。

 その思想や使命感という芯(しん)がしっかりしていたからこそ、渋沢栄一は江戸末期から明治維新のあの環境激変期を生き抜いたのだと思う。そして、殖産興業の明治期に約500もの事業(会社)を興すことができたと言える。

 話を本題に戻すと、本業で人財育成に力を入れる和佐見はラグビーでも同じように注力。それが丸和ラグビー精神となって現れている。今、『AZ-MOMOTARO’S』のメンバーは21年4月には80人超となり、選手層も厚くなった。ここで和佐見は気を抜かない。あくまでも「トップリーグ(リーグワン)を目指す」と選手たちを励ます。もっと高みを極めようという激励である。

以下、本誌にて

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