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【経済産業省】コスモHDが再エネ事業巡り、旧村上系ファンドと対立

財界オンライン 2023年5月25日 18時0分

石油元売り大手のコスモエネルギーホールディングス(HD)が、再生可能エネルギー事業を巡り大株主の旧村上ファンド系投資会社と対立している。投資会社側が再エネ事業の株式上場を求めているが、コスモHDは上場せずグループ内にとどめ、成長分野として拡大させる方針を示した。

 旧村上系の投資会社「シティインデックスイレブンス」(東京)は、共同保有者と合わせてコスモHD株の約2割を保有。かつて「物言う株主」として知られた村上世彰氏の影響を強く受けているとされる。

 シティは、再エネ事業について一定の資本関係を維持しつつ独立させた上で株式を上場させるよう要求。外部資本も取り込みながら成長を加速できると主張する。一方、コスモHDの山田茂社長は、電力小売りや需給調整を有するグループ内で育てる利点を強調し、「サプライチェーン(供給網)全体で取り組み、企業価値を高めていく」と説明している。

 コスモHDの新たな中期経営計画では、2025年度までの3年間で再エネ関連投資を計1千億円に拡充した。中でも風力発電は、陸上風力に440億円、洋上風力に390億円を振り向ける。30年度の発電容量を150万キロワット以上に引き上げる目標も掲げた。

 中計発表を受け、シティ側の投資家は「競争の激しい洋上風力で受注できなかった場合どうするのか」などと疑問を呈している。このほか、株主還元の強化で3年間累計の総還元性向が60%以上、各事業のリスクを考慮し自己資本は6千億円以上と設定されたが、シティ側は納得していない。

 コスモHDは、シティらによる株式の買い増しを念頭に、大規模買い付け者以外の株主に新株予約権を付与する買収防衛策を導入すると発表。一方、シティは6月予定の定時株主総会に向け、推薦する弁護士1人を社外取締役として選任する株主提案を実施。総会での判断が注目される。

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