中国共産党100年、軍事力増強や台湾「統一」決意 習氏演説
ロイター / 2021年7月1日 16時37分
7月1日 中国の習近平国家主席(共産党総書記)は1日、党創立100年を記念する式典で演説し、中国人民は外国勢力による脅しや圧迫を決して認めないと述べた。写真は7月1日、北京の天安門広場で撮影(2021年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)
[北京/台北 1日 ロイター] - 中国の習近平国家主席(共産党総書記)は1日、党創立100年を記念する式典で演説し、中国人民が「新たな世界」を築いたと称賛したほか、外国勢力による脅しや圧迫を決して認めないと強調した。
天安門広場で1時間にわたって演説し、その模様はテレビ中継された。習氏は、中国の軍事力を増強するとした上で、台湾「統一」への意欲を表明。香港とマカオの自治権も強調した。
習氏は「中国人民は、古い世界を破壊することに長けているだけではなく、新たな世界を作った」と演説。「社会主義だけが中国を救うことができる」とも述べた。
また、いかなる外国勢力にも、中国人民を脅迫、抑圧したり、従属させたりすることは許さないと主張。「大胆にもそうしようとする者は誰であれ、14億人以上の中国人民が築いた鉄の長城に頭を打ち付け、血に染まることになるだろう」と述べた。天安門広場に集まった観衆からは拍手が沸き起こった。
「小康社会(適度にゆとりある社会)」を実現するという目標を達成したと宣言した。
習氏はさらに、軍事を増強して、主権と安全保障、発展を守ると強調。「軍の近代化を加速しなければならない」とし、主権や領土の一体性を防衛するという中国人民の決意を誰も過小評価すべきではないと述べた。
香港とマカオについては、中国の主権と安全保障、発展を守るとともに、これら地域の社会的安定を維持すると表明。「『一国二制度』の原則を順守する。香港市民は香港を、マカオ市民はマカオを、それぞれ高度な自治の下で運営する」と述べた。
最後は「偉大で光栄で正しい中国共産党、万歳」「偉大で光栄で英雄的な人民、万歳」という言葉で演説を締めくくった。
北京師範大学のTang Renwu教授は、習氏の演説について、米欧が中国を「抑圧」しようとしているため、強硬な内容になったと指摘。「習氏が普段よりも強い対応をしたことで、国民の間にさらに愛国的・国家主義的な感情が広がるだろう」と述べた。
中国政府は、1年前に導入した香港国家安全維持法(国安法)を通じて香港の締め付けを強化。香港警察は、新型コロナウイルス感染防止を理由に、英国から中国への返還記念日に当たる7月1日にデモ行進を行うことを禁止した。
米調査機関ピュー・リサーチ・センターが30日に発表した先進17カ国を対象とする調査によると、中国に対する見方は依然広範囲にわたって否定的で、習近平国家主席に対する信頼度は過去最低水準にとどまった。
<台湾「統一」>
習氏は、台湾の「統一」を実現する決意を表明し、台湾の独立に向けたいかなるたくらみも「粉砕する」と強調した。
「台湾問題の解決と祖国の完全統一の実現は中国共産党の揺るぎない歴史的任務で、中国全国民の共通の願いだ」と述べた。
「台湾海峡の両側の同胞を含む中国の全ての息子と娘は協力し、団結して前進し、いかなる『台湾独立』のたくらみも断固として粉砕する必要がある」と訴えた。
習氏の演説を受けて、台湾で対中政策を所管する大陸委員会は、共産党は「一定の経済的発展」を成し遂げたが、人々の自由を踏みにじる体制だと断じ、民主主義を受け入れるよう訴えた。
「過去の意思決定上のミスと繰り返される有害な行動が、地域の安全保障にとって深刻な脅威となってきた」と指摘。台湾市民は「一つの中国」を認めていないとした上で、中国は軍事的脅しをやめ、対等な立場で台湾と交渉すべきとした。
さらに「台湾の主権と民主主義を断固として守り、台湾海峡の平和と安定を維持しようとする台湾当局の決意は揺るがない」と強調した。
<党員数が大幅増>
中国共産党は当初、小作農や労働者を党員に勧誘していたが、その後は「中国の特色を持つ社会主義」の下、市場や起業を受け入れるようになっている。
6月30日に公表されたデータによると、党員の数は2020年に243万人増え、9515万人に達した。年間の増加幅としては、習氏が13年に国家主席に就任して以来で最大を記録した。
習氏は「中国の全ての人々の利害と運命」は党指導部と結び付いており、人々を党に反逆させるようないかなる試みも失敗すると強調。
「14億人以上の中国人民は、そうしたシナリオが現実のものとなるのを、決して許さないだろう」と語った。
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