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為替、購買力平価と市場実勢の大幅乖離に関心=日銀3月会合

ロイター / 2024年5月2日 12時9分

 5月2日、日銀が3月18―19日に開いた金融政策決定会合では、過去四半世紀の政策運営を振り返る「多角的レビュー」に関する議論の中で、為替について、購買力平価と市場レートが大きく乖離していることを複数の委員が指摘していたことが分かった。写真はシンガポールで2017年6月撮影(2024 ロイター/Thomas White)

Takahiko Wada

[東京 2日 ロイター] - 日銀が3月18―19日に開いた金融政策決定会合では、過去四半世紀の政策運営を振り返る「多角的レビュー」に関する議論の中で、為替について、購買力平価と市場レートが大きく乖離していることを複数の委員が指摘していたことが分かった。金融機関の収益力低下にも、執行部・政策委員双方から懸念が示されていた。

執行部は決定会合で、過去25年間の為替の推移を振り返り、この間に実施されてきた非伝統的金融政策が、将来の為替レートに関する予想を経由する形で「為替レートに一定程度影響を与えてきた可能性がある」と指摘。一方、予想の形成はその時々の世界経済や国際金融市場の動向次第で大きく変化してきたようにうかがわれ、非伝統的金融政策が為替レートに及ぼす影響には「きわめて大きな不確実性が存在する」と説明した。

こうした執行部の説明に対して、複数の委員が「日本では購買力平価からの乖離が目立つ」と指摘。長期的に見て、海外への生産シフトで円安の動きが緩やかに続いたことが影響したのではないかと述べた。

このうちの1人の委員は「この2年ほどは購買力平価対比でかなりの円安が進んでいる」と述べ、リーマン・ショック以降、市場参加者の間で従来よりも内外金利差が意識されやすくなっていることを反映している可能性があると指摘した。

別の1人の委員は、大規模金融緩和前の2012年頃と現在とでは、為替や株価の水準は大きく異なり、金融政策が波及していくメカニズムや波及効果・副作用も異なる可能性があると述べた。

財務省の三村淳国際局長が4月25日の参院・財政金融委員会で示した国際通貨基金(IMF)の試算によれば、ドル/円の購買力平価は4月時点で90.82円。市場実勢との乖離は大きい。

<金融機関収益に「構造的下押し圧力」>

多角的レビューを巡る議論では、金融機関収益について執行部、委員双方から懸念が示された。

執行部は、金融機関の収益力が「歴史的にみると、低下した状態にある」と指摘。地域金融機関を中心に、市場変動などのストレスへの耐性が低下している先があるほか「金利が短期間のうちに大きく上昇した際には、保有有価証券の評価損が金融機関の金融仲介活動の制約になることが考えられる」と述べた。

委員からは、一部の金融機関におけるストレス耐性の低下に懸念が示されたほか、複数の委員が「金融政策が変化したとしても、厳しい競争環境のもとで金融機関収益には構造的な下押し圧力がかかり続ける可能性もある」と述べた。

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