日銀点検の議論、いかに効果的な緩和を機動的に行うかが焦点=若田部副総裁
ロイター / 2021年2月3日 12時55分
2月3日 日銀の若田部昌澄副総裁は神奈川県金融経済懇談会(オンライン形式)であいさつし、日銀が進めている政策の点検について、現行の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が金融環境や経済・物価情勢にどのような効果を及ぼしたのかが出発点になると述べた。写真はアイルランドのダブリンのイベントに登壇した若田部氏。2019年2月撮影(2021年 ロイター/Clodagh Kilcoyne)
[東京 3日 ロイター] - 日銀の若田部昌澄副総裁は3日、神奈川県金融経済懇談会(オンライン形式)であいさつし、日銀が進めている政策の点検について、現行の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が金融環境や経済・物価情勢にどのような効果を及ぼしたのかが出発点になると述べた。その上で「いかに効果的な金融緩和を機動的に行うかが議論の焦点になる」と語った。
日銀は点検の結果を3月の金融政策決定会合で公表する予定。
若田部副総裁は、今回の点検が、金融緩和の後退方向での議論ではなく、政策のコストを抑えることを目的としたものでもない、と強調した。2%の物価安定目標の実現に向けた現行政策の基本的な方向性は間違っておらず、その運営や資産買い入れなど、各種施策について点検すると説明。各種施策を見直すかどうかは「点検の結果次第」で、具体的に述べる段階にはないとした。
金融政策運営においては「コミュニケーションは重要な要素」だと指摘した。最近では中銀の意図が狙い通りに伝わらない難しさを論じ、その改善を提案する研究もある、と紹介。今回の点検内容を含め、政策運営の考え方をできるだけ分かりやすく説明する工夫や努力をしていくと語った。
<コロナワクチン、普及ペースや効果には不透明感も>
若田部副総裁は、日本経済について、新型コロナウイルスの影響で引き続き厳しい状態にあるが、昨年4─5月を底に基調としては持ち直している、との認識を示した。ただ、コロナ感染が再拡大する中、対面型サービス消費を中心に下押し圧力の強い状態が続くと予想されるとした。
一部の国でコロナワクチンの接種が始まったことは「心強い動き」としつつ、普及のペースや効果には不透明感があると指摘。当面は、感染症の帰趨やその内外経済への影響に注意が必要と述べた。
当面、消費者物価の前年比はマイナスで推移するとみられるが、その後は一時的要因の剥落や経済改善でプラスに転じ、徐々に上昇率を高めていくと予想した。その上で、物価固有のリスク要因として、為替の変動に強い関心をもって注目していると語った。
日銀が昨春以降導入しているコロナ対応「3本柱」は効果を発揮しているが、必要があれば、躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を実施する方針だと説明した。
また、感染症の影響が収束した後、日本経済が成長経路に戻るためには、経済面での後遺症をできるだけ回避することと同時に、成長力を強化していくことが重要だと指摘。成長力強化への取り組みは民間部門が主役となるものの、日銀も政府と連携・協調し、日本経済を政策面で支え切る覚悟だと語った。
*内容を追加しました。
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