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焦点:要求予算が再び最大、衆院選にらみ歳出圧力 PB黒字へ正念場

ロイター / 2024年9月4日 10時2分

2025年度予算の概算要求額が117兆円を超え、再び過去最大を更新する見通しとなった。写真は2017年6月撮影(2024年 ロイター/Thomas White)

Takaya Yamaguchi Yoshifumi Takemoto

[東京 4日 ロイター] - 2025年度予算の概算要求額が117兆円を超え、再び過去最大を更新する見通しとなった。政府は、年末にかけ査定に本腰を入れる構えだが、新政権発足後の衆院解散・総選挙も取り沙汰され、歳出圧力は弱まりそうにない。想定通り次年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を黒字にできるかは正念場を迎える。

<歳出膨張、2年続けて最大>

複数の政府関係者が明らかにした。これまでは24年度要求の114兆3852億円が過去最大だった。25年度も前年度に続き、過去最大を更新する。財務省がきょう発表する。

一般会計総額のうち、社会保障費を所管する厚生労働省からの要求が約3割を占める。厚労省によると、高齢化も踏まえて一般会計分で34兆2763億円を要求した。

防衛省は、過去最大となる8兆5389億円の防衛費を計上した。20年12月に策定した防衛力整備計画に基づき、島しょ防衛などを強化する。

予算要求の締め切りに先立つ基準に沿って、政府は、物価高や賃上げ対策などで額を示さない事項要求を容認。鈴木俊一財務相は「事項要求があるから(予算が)一方的に増えていくことにならないよう、予算編成過程でしっかり対応したい」と、先月30日の閣議後会見で語った。

ただ、事項要求は半導体の量産支援など広範に及び、年末に編成する予算額がどう着地するかは見通せない。

<補助金巡り、残る延長論>

近く発足する新政権がどう財政運営を行うかも不透明感が漂う。27日の自民党総裁選に先立ち、河野太郎デジタル担当相は日本の財政状況を「有事」とし、「そろそろ財政規律をしっかり取り戻さなければならない」と語った。

一方、小林鷹之・前経済安保担当相は「経済は財政に優先する」との認識を示し、党総裁に就任すれば、年内に物価対策パッケージを公表するとしている。

党総裁選後は、早期に解散・総選挙が行われるとの観測がある。市場では「衆院選をにらみ例年以上に歳出圧力が強まりやすい。税収は上振れ含みだが、歳出を平時に戻せなければPBの黒字化は困難になる」(みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介・主席エコノミスト)との見方が強い。

複数の与党関係者によると、電気・ガス料金、ガソリン価格の高騰を受けた補助金支給では、なお延長論がくすぶる。

電気・ガスは8月から10月使用分への補助を再開し、ガソリンは年内いっぱい継続することが決まっているが、「選挙を控えて出口を議論するのはセンスがない」(自民中堅)との声がある。11兆円規模の予算を投じた補助金をどう扱うかは、新政権の財政運営を占う試金石となる。

<利払い負担が財政圧迫も>

市場には「金利上昇の影響は今後、本格化する。PBが赤字のままだと債務残高が膨らみ、債務残高対GDP(国内総生産)比の安定的な引き下げも見通せなくなる」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)と懸念する声がある。

25年度の予算要求では、利払いや元本返済に充てる国債費がさらに膨らみ、過去最大の28兆9116億円を計上。日銀の追加利上げも反映し、利払い費を算出する際の想定金利は2.1%と、15年度(2.2%)以来の水準に引き上げた。前年度要求段階からは0.6%ポイントの引き上げとなる。

日銀は、市場が不安定なうちは「利上げしない」とはいえ、経済・物価の状況が見通しに沿って推移すれば政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整する姿勢を崩していない。

金利上昇に伴う利払い負担が財政をさらに圧迫し、政策に回す原資が細れば「経済あっての財政」との姿勢も危うくなる。急ピッチな利上げを重ねた米国では、利払い急増への懸念が増幅している。

金利動向などに左右されず、財政への信認を維持する姿を示すにはPB黒字を対GDP比で一定水準に保つ工夫も求められる。

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