日経平均が一時1500円超の下落、米景気に懸念 雇用統計控え警戒感
ロイター / 2024年9月4日 10時54分
A woman walks in front of a stock quotation board in Tokyo in Tokyo June 30, 2010. Japan's Nikkei average closed down 2 per cent at a key support level after hitting a seven-month low, booking its worst quarterly performance since the last quarter of 2008, after the Lehman Brothers collapse. REUTERS/Issei Kato (JAPAN - Tags: BUSINESS EMPLOYMENT)
Noriyuki Hirata
[東京 4日 ロイター] - 4日の東京市場で日経平均は売りが先行し、一時1500円超安に下げ幅を拡大、心理的節目の3万7000円に接近する場面があった。前日の米国市場で、景気懸念から株価の主要3指数が下落したことを嫌気している。株価は8月の急落から回復基調にあったが、週末の米雇用統計の発表に向けてボラティリティの高さが改めて意識されそうだ。
市場では、9月はアノマリー(経験則)の面から波乱が多いと意識されている。加えて「ISM(製造業景気指数)が弱かったことは、8月の波乱相場の端緒を想起させる」(三木証券の北沢淳商品部投資情報グループ次長)との声が聞かれる。8月上旬にかけては、日銀による利上げ決定の後、ISMや米雇用統計の弱い内容から米景気懸念が強まり、ドル/円が下げ足を速める中で株価が大きく崩れた。
米供給管理協会(ISM)が3日に発表した8月の製造業景気指数は、8カ月ぶり低水準だった7月の46.8から47.2に上昇し、雇用が若干改善した。一方、新規受注のさらなる減少や在庫増加から、製造業の活動は当面低迷が続く公算が大きいことが示唆された。拡大・縮小の分岐点となる50は5カ月連続で下回った。
足元でも米景気懸念が改めて意識されてきており、株価は「米雇用統計次第のところがある。失業率が予想以上に悪化するなどして市場が動揺し、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%の大幅利下げの織り込みが進めば為替が円高に触れるリスクがある」(北沢氏)との見方がある。
CMEのFEDウオッチによる9月FOMCでの0.5%利下げの織り込みは前日の3割程度から4割程度に高まった。株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は、8月12日以来となる節目20を再び上回った。
米国市場では、半導体大手エヌビディアの株価が9.5%下落し、時価総額は2790億ドル(約40兆円)減と米企業の1日の減少幅として過去最大を記録した。市場では、AI関連設備投資が最終的にAIからの収入だけで回収できるかどうかについて疑問視する見方が一部にあることや、米司法省が反トラスト法(独占禁止法)調査を本格化させたと一部で報じられたことが嫌気された。
フィラデルフィア半導体指数(SOX)指数は7%超の大幅安となっており、国内でも指数への寄与度の高い東京エレクトロンやアドバンテスト、ソフトバンクグループといった半導体関連、ハイテク株が大幅に下落し、指数を押し下げている。
米長期金利が低下する中、国内の長期金利も低下しており、三菱UFJフィナンシャル・グループなどの銀行や保険といった金融株も弱い。一方、為替市場では株安を受けてリスク回避の円買いが強まり、ドル/円は一時、8月末以来となる144円台に下落。トヨタ自動車など輸出関連株を中心に逆風になっている。
日経平均の25日移動平均線は3万7100円付近を通っており、朝方の下げ拡大時にはサポートとして機能した。市場では「為替は円高寄りではあるが、企業業績を著しく悪化させるほどではない。25日線で下げ止まるかが目先の焦点」(野村証券投資情報部の沢田麻希ストラテジスト)との声がある。
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