英金融機関、コロナで貸倒損失も資本十分=イングランド銀行
ロイター / 2020年5月7日 19時54分
イングランド銀行(英中央銀行)は7日、金融安定報告(中間報告)を公表し、英国の大手行や住宅金融組合には新型コロナウイルスの感染拡大に耐えて融資を続けられる財務の健全性が備わっているとの見解を示した。写真は3月23日、ロンドンで撮影(2020年 ロイター/Toby Melville)
[ロンドン 7日 ロイター] - イングランド銀行(BOE、英中央銀行)は7日、金融安定報告(中間報告)を公表し、英国の大手行や住宅金融組合には新型コロナウイルスの感染拡大に耐えて融資を続けられる財務の健全性が備わっているとの見解を示した。
金融安定報告によると、英中銀は同日公表した四半期金融政策報告が示した経済シナリオに基づいて「デスクトップ」ストレステスト(健全性審査)を行った。
金融政策報告の経済シナリオは、今年第2・四半期の英国内総生産(GDP)が昨年第4・四半期と比べて30%近く落ち込み、封鎖措置が解除されるとともに回復するというもの。
英国政府は3月中旬に封鎖措置を導入。今後数日のうちに一部の解除を発表するとみられている。
ストレステストの結果、金融機関は800億ポンド(988億6000万ドル)強の貸倒損失に直面する可能性があるが、英銀にはこれを上回る損失でも吸収できる十分な資本があることが示されたという。
「全体として、銀行は信用供与を拡大することで、企業のキャッシュフローの赤字解消を支援することができる」と分析した。
英中銀のカンリフ副総裁は、10年前の金融危機の時と同様に銀行が企業を支援しなかった場合、経済全体の状況がさらに悪化し、銀行の損失も拡大すると警告した。
同副総裁は「このシナリオとストレステストに基づけば、銀行が企業を支援しなかった場合の経済的影響は、銀行自信の資本基盤を1%ポイント前後悪化させる可能性がある」と述べた。
英中銀は銀行に対し、資本・流動性バッファーが最低要件を上回っている場合には融資に回し、信用の目詰まりを防ぐようあらためて呼び掛けた。
英中銀は7日、これとは別に、政策金利と量的緩和(QE)の規模を据え置くと発表。市場の予想通り追加緩和を見送ったが、新型コロナ感染防止のための封鎖措置の影響で今年は約300年ぶりの大不況になると予想し、必要に応じて追加措置を講じる方針を示した。
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