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焦点:自動車業界にサプライチェーン危機、新型肺炎で部品枯渇

ロイター / 2020年2月9日 8時22分

 2月6日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、いよいよ世界の自動車産業に波及し始めてきた。中国の部品工場が操業再開できないと、部品在庫が底をつく可能性がある。写真は広西チワン族自治区柳州市にある米ゼネラル・モーターズの合弁工場。2019年2月撮影(2020年 ロイター/Aly Song)

Joseph White

[デトロイト 6日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、いよいよ世界の自動車産業に波及し始めてきた。6日にはフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA) が、中国の部品供給業者が操業を再開できなければ、2─4週間で欧州の工場1カ所の生産を止める可能性があると警告を発したのだ。

自動車メーカーにとっては、今後数週間が重要な時期になる。中国で製造される部品は、他の場所で組み立てられる数百万台の自動車に使われており、新型コロナウイルスが最初に発生した湖北省は、自動車部品生産・出荷の主要拠点でもある。

業界専門家の話では、サプライヤーは1月末からの春節(旧正月)を前に、部品の在庫や一時保管の量を増やしてきた。ただ来週、中国の部品工場が再び操業できないか、中国発着の航空便の制限が続くなら、そうした取り置き分は底を突いてしまう。

中国の自動車部品・組立工場は当初、春節の休みを9日までの予定としていたものの、一部はさらに休業期間を延ばしている。

コンサルティング会社アリックスパートナーズの自動車・工業慣行担当マネジングディレクター、ダン・ハーシュ氏は「業界のほとんど全ての企業が製品生産で何らかのトラブルに見舞われている」と述べた。

<影響「読めない」>

FCAのマンリー最高経営責任者(CEO)は6日、あと2-4週間で部品が入ってこないようなら欧州の組立工場の生産停止を迫られる恐れがあると語った。対象となる具体的な車種や工場は明らかにしていない。

トヨタ自動車<7203.T>は6日、2020年3月期連結利益予想を上方修正したが、白柳正義執行役員は、中国国外の「部品在庫(の動き)を丹念に見守っている」と強調。ディディエ・ルロワ副社長は、今年の中国市場は昨年からさらに縮小するとみていたと説明した上で「(新型コロナウイルスによる)不確実性は高まっている。影響は今、本当に読めない。今後、数日で急激に状況が変わるかもしれない」と、警戒感を示している。

韓国の現代自動車も、中国からの部品不足によって国内の複数の工場が生産停止を余儀なくされるだろうとの見方を示した。

ゼネラル・モーターズ(GM) は、24時間態勢で対応する専門チームを立ち上げた。

<東日本大震災の教訓>

アリックスパートナーズのハーシュ氏によると、自動車メーカーは重要部品に関しては以前よりも代替調達手段を拡充している公算が大きい。各メーカーや主なサプライヤーは、2011年の東日本大震災で重要部品の仕入れに支障が出た教訓を踏まえ、1つの部品工場が壊滅した場合に組み立てラインが止まるリスクを減らそうとしている。

生産設備に柔軟性を与え、部品生産先の切り替えや再設定もできるようになっている。例えばフォード・モーター は、ミシガン州のサプライヤーの工場火災で収益性の高いピックアップトラックの生産が脅かされた際には、すぐにカナダ・オンタリオ州の工場に生産施設を移した。

それでも湖北省の部品生産全てを他で調達する、あるいは別の地域に施設を移転させるのは容易でない。IHSマークイットが先週公表した調査では、湖北省は中国の自動車生産の3分の2強を支える国内11省の1つだ。

IHSは、湖北省で工場の部品生産停止が3月まで続けば、中国国内の自動車生産は相当落ち込み、第1・四半期全体で170万台を超える減産になると予想した。

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