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アングル:武力衝突止まないミャンマー、町や村落の荒廃広がる

ロイター / 2021年7月12日 11時49分

7月7日、 国軍のクーデターにより、選挙で勝利した文民指導者であるアウン・サン・スー・チー氏が権力の座を追われて5カ月。写真はサガイン地域の村デパインで2日、衝突を避け逃れる避難民ら(2021年 ロイター)

[7日 ロイター] - 国軍のクーデターにより、選挙で勝利した文民指導者であるアウン・サン・スー・チー氏が権力の座を追われて5カ月。少数民族の武装グループを20以上も抱えるミャンマーでは、今なお国内各地で武力衝突が相次ぎ、住民を失って荒廃に陥るコミュニティが続出している。

今月2日明け方、村に乗り込んできた軍のトラックに反撃しようとした地元の若者たちがあっという間に蹴散らされた。ロイターの電話取材に応じた6人の住民によれば、数十人が兵士に殺害され、数千人が持てる限りの荷物を抱えて村から逃れたという。

農業中心の村、デパインでの出来事だ。軍政への抵抗勢力を排除するため同村に押しかけた国軍に対し、地元の民兵組織があり合わせの武器で対抗、流血の衝突となった。

デパインだけではない。山がちな国境周辺地域からマンダレーなどの都市まで、武力衝突は至るところで起きている。ヤンゴンのビジネス街では毎日のように爆発が起き、国軍寄りの当局者が何十人も殺害されている。住居を追われた人も23万人以上に及ぶ。

国軍は最大規模の街頭抗議行動こそ抑え込んだものの、統制の確保にまでは至っていない。だが国軍に抵抗する側でも、装備不足で組織化も進んでいないことを自認しており、安全保障アナリストの見解も同様である。

<村落に横たわる多数の死体>

国営メディア「グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマー」によると、デパインでは「武装テロリスト」が治安部隊に待ち伏せ攻撃を仕掛け、隊員1人が死亡、6人が負傷したという。同紙によれば、襲撃者は反撃を受けて退却したという。

地元の医療関係者は、41人の遺体が確認されたと述べている。民主派側の国民防衛隊(PDF)は、メンバー26人を失ったとしているが、「タッマドー」と呼ばれる国軍との戦いを継続していくと宣言している。

こうした犠牲者の数について、ロイターでは独自の裏付けを得ることができなかった。

ソーシャルメディアに投稿された写真では、少なくとも10人の遺体が確認でき、一部はデパイン村外の農地に横たわっている。住民は、こうした写真について、デパインで撮影されたものだと語っている。

身許が特定されることを恐れて「トゥン」とだけ名乗る58才のデパイン住民は、「私たちにあるのは気持ちだけ。武器もなければ、戦闘のために必要なスキルもない」と語る。

国軍当局の広報担当者にコメントを求めたが、回答は得られなかった。国軍は、国家安全保障上の脅威に見合った武力を行使しただけであると述べている。

現地の当局・警察にも電話で取材したが、コメントを控えるとしている。

<「革命」を支える若者>

クジャクヤシの並木が境界をなす田畑で豆や米が栽培されているデパインは、仏教徒を中心とする多数派ビルマ族の居住地域の中心に位置する。ビルマ族は、国軍だけでなく、スー・チー氏の率いる国民民主連盟(NLD)支持層の中心でもある。

2月1日のクーデターにより、不安定だったミャンマー民主化は中断してしまった。それ以来、デパインの若者たちは組織的な抗議行動を開始し、軍政に抵抗する国民防衛隊を設立した。しかし、住民によれば、武器と言っても持っているのは少数の旧式ライフル、若干の空気銃と投石器だけだという。

現在は韓国で働いているデパイン出身の活動家サン・ミョー・ルイン氏(30)は、「私たちの地域の若者は、積極的にこの革命に参加している」と話す。

ロイターの集計では、軍との関係を理由として少なくとも57人が殺害されており、6月中旬には、軍政府が任命した村の行政官の娘2人も刺殺された。犯行声明は出ていない。地元の警察はコメントを控えている。

2日の軍による襲撃では、抵抗運動側はあっけなく敗北した。若者たちが男子修道院に退却し、携行式ロケット弾の攻撃を浴びたからだと住民は語る。

<ヤンゴンでも爆破事件が頻発>

国営メディアは、各地での武力衝突と、軍当局による抵抗運動参加者の逮捕を定期的に報じつつ、ミャンマー全土での混乱の規模を指摘している。

6月末には、ミャンマー第2の都市マンダレーにおいて発生した戦闘を終結させるため、装甲車が配備された。

爆破事件も頻度を増しており、特にかつての首都で今もビジネスの中心地であるヤンゴンでは顕著だ。ロイターの集計では、7月に入ってミャンマー全土ではこうした爆破事件が少なくとも12回発生している。どこのグループからも犯行声明は出ていない。

英国の軍事情報会社ジェーンズで安全保障アナリストを務めるアンソニー・デイビス氏は、「統治どころではなく、抵抗運動側の村民に対応するために、守備隊を配備しつつ後背地への攻撃を繰り返すというパターンに陥ることが懸念される」と語る。

国軍は犠牲者の数を明らかにしていないが、ソーシャルメディアに投稿された、戦闘で死亡した兵士とされる写真を検証したところ、国軍側にも損失が出ていることが明らかになった。国軍の広報担当者にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

<双方に損失拡大、耐久戦の様相>

抵抗勢力側が装備を強化しつつある兆候も見られる。

国軍によれば、先月は100丁の銃器を押収し、その際の逮捕者は「カチン独立軍(KIA)から武器を入手し訓練を受けた」と自供しているという。KIAにコメントを求めたが回答は得られなかった。

また国軍は、KIAの他2つの少数民族系武装グループが抵抗運動参加者の訓練を行っていると批判している。武装グループからの回答は得られなかった。

またミャンマーは、インド、タイ、中国と長大な国境を接しており、過去に武力衝突が続いていた時期には、これら諸国との国境を越えて武器が密輸されていた。

国軍の広報担当者に電話で抵抗勢力側の武装についてのコメントを求めたが、回答は得られなかった。また国民防衛隊のメンバーにコメントを求めようとしたが連絡がつかなかった。

ヤンゴンの政策シンクタンクであるタンパディパ・インスティチュートのクヒン・ゾー・ウイン所長は、「どちらの側にも損失・犠牲者が出ており、痛み分けの状況だ。どちらが長く耐えられるかが問題になる」と語る。

(翻訳:エァクレーレン)

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