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焦点:日銀、追加利上げは急がず 米景気・利下げなど注視

ロイター / 2024年9月13日 16時10分

 9月13日、追加利上げについて、日銀内で急ぐ必要はないとの声が強まっている。写真は日銀本店と日本国旗。3月撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada

[東京 13日 ロイター] - 追加利上げについて、日銀内で急ぐ必要はないとの声が強まっている。7月の利上げ後、大幅に円高が進行し、輸入物価を通じた物価の上振れリスクが後退したためだ。市場が動揺する中、追加利上げへのハードルが上がっているとの声も聞かれ、19―20日の金融政策決定会合では政策金利を据え置く公算が大きい。経済・物価が見通し通りに推移すれば追加利上げを行う方針に変更はないが、当面は米経済の動向や米利下げの状況を見極めるとみられる。

<輸入物価、8月は急減速>

今週相次いだ審議委員の発言機会では、中川順子審議委員、田村直樹審議委員ともに物価の上振れリスクに言及した。田村委員は12日、物価の先行きについて「上振れリスクが膨らんできているのではないか」と懸念を示した。

日銀では、円安の修正で輸入物価を通じた物価上昇圧力は後退したものの、賃金に上昇圧力が掛かる中、企業の賃金・価格設定行動の変化で人件費上昇分の価格転嫁が進みやすい状況は変わらず、物価の上振れリスクは残るとの声も根強い。

ただ、12日に日銀が発表した8月の輸入物価指数(円ベース)は前年比プラス2.6%と7月のプラス10.8%から大きく減速した。8月入り後、為替が円高に振れたことが反映された。6月下旬にドルは161円台に上昇したが、足元では141円付近と約20円も円高に振れており、日銀では大幅な円高が物価見通しに影響を及ぼすとの見方が出ている。

日銀では、3月のマイナス金利解除から7月の追加利上げまで比較的順調かつ早めに対応してきたため、今後は急ぐ必要がないとの見方も出ている。金融市場が不安定な中で追加利上げに踏み切る場合のハードルは、平時に比べ上がっているとの指摘もある。

金融市場については、8月上旬の円急伸で円売りポジションが急速かつ大幅に巻き戻されたことで、当面、短期筋は様子見を続けるのではないかとの見方もある。ただ、金融市場は金融政策の波及経路として重要で、その動向を軽視すべきでなく、米国の景気や米連邦準備理事会(FRB)の政策を巡って不安定な動きは当面続くとの声もある。

<利上げ時期に一定の幅>

植田和男総裁は8月以降も、経済・物価見通しが実現していく確度が高まっていけば金融緩和度合いを調整する方針を示している。

日銀は、現時点で経済・物価情勢はオントラックとみているが、展望リポートなどで日銀の想定に沿って推移していることが確認できれば必ず利上げというわけではないとの声も多い。

追加利上げの時期については、米景気や来年の春闘に向けた動き次第で、年内にも可能になるとの見方がある一方、米景気を巡る不透明感が尾を引けば、来年の春闘の動向を見極めてから来年3月にずれ込むのではないかとの予想もある。

米経済について、現時点では「メインシナリオは引き続きソフトランディング」(氷見野良三副総裁)との声が日銀では多く聞かれるが、景気減速の深さによっては日本の企業収益、ひいては来年の賃上げに影響が及びかねない。また、FRBが利下げを大幅に進める可能性が高まれば一段と円高に進む展開も想定しうる。

日銀は17―18日に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果やパウエル議長の発言、市場の反応に注目している。

19―20日に開かれる日銀の金融政策決定会合では、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%で据え置く公算が大きい。7月の利上げ後に発表された経済指標は7月会合時に想定した範囲内の結果だったとの声が多いが、利上げの影響や市場動向を点検する必要があるとの声が聞かれる。

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