ガザの病院「保護必要」、米大統領訴え ハマスは5日間の停戦案

バイデン米大統領は１３日、パレスチナ自治区ガザの病院は保護されなければならないとし、イスラエルによる「侵入的な行為」が減ることを望むと述べた。写真はガザで８日撮影（２０２３年　ロイター）

Nidal al-Mughrabi

[ガザ １４日 ロイター] - バイデン米大統領は１３日、パレスチナ自治区ガザの病院は保護されなければならないとし、イスラエルによる「侵入的な行為」が減ることを望むと述べた。

イスラエル軍は同日、ガザの主要病院であるシファ病院の門に到達し包囲した。イスラエルはガザを実効支配するイスラム組織ハマスが病院の地下に司令部を構え、患者を盾にしているとしているが、ハマス側はこれを否定している。

シファ病院内にいるガザ保健省のアシュラフ・アル・キドラ報道官によると、包囲と電力不足によりこの３日間で３２人の患者が死亡し、うち３人が新生児だった。少なくとも６５０人の患者が病院内に残っているという。

イスラエル軍は１４日未明、イスラエルからシファ病院への「保育器移送を調整する人道的努力を開始した」と発表したが、病院側はまだ機器を受け取っていないという。

バイデン大統領は、週末にガザの病院が攻撃され患者が死亡するなどしたことを受け初めてコメントを出し、病院を保護する必要性を強調。

ホワイトハウスで記者団に「私の希望と期待は病院への侵入的な行為を減らすことであり、イスラエルと連絡を取り合っている」と語った。また、ガザで拘束されている人質の解放に戦闘の一時休止を利用する取り組みが進められているとし、仲介しているカタールと交渉が進められていると明らかにした。

イスラエルは、病院が軍事目的に使用されていると主張しており、ガザ北部の「ランティシ」小児科病院の地下部分がハマスの武器貯蔵庫だったことを示す動画や写真を公開した。

ハマスのメディアは、イスラエルがガザ北部のジャバリア難民キャンプを空爆し、３０人以上が死亡、多数の負傷者が出たと報じた。

＜ハマス「人質解放の用意」、停戦と引き換え＞

ハマスは、人質解放などで仲介しているカタールに対し、５日間の停戦と引き換えに、ガザで拘束している人質の中から最大７０人の女性と子どもを解放する用意があると伝えたと明らかにした。

ただ、イスラエルはこれまで停戦について、ハマスに態勢立て直しの猶予を与えるだけだとして拒否しており、ハマスの提案を受け入れる可能性は低いとみられる。

米紙ワシントン・ポスト（ＷＰ）の論説記者は１４日、イスラエル政府高官を引用し、ハマスが拘束しているイスラエル人女性と子どもの大半を解放すると同時に、イスラエル側が囚人として捕らえているパレスチナ人の女性と若者を釈放することで双方が合意に近づいていると伝えた。詳細がまとまれば数日内にも発表される可能性があるという。