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アングル:トランプ政策「負の側面」、日本株に波及警戒 米金利高に身構え

ロイター / 2025年1月14日 18時56分

 年明け以降、日経平均がチャート上の節目を次々と下抜ける展開となっている。写真は、東京証券取引所(東証)のメディア関係者ら。1月6日、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

Noriyuki Hirata

[東京 14日 ロイター] - 年明け以降、日経平均がチャート上の節目を次々と下抜ける展開となっている。連休明けの14日も、米雇用統計後の米金利上昇を受けた米株安を嫌気して下げ幅を一時800円超安に拡大した。インフレ的な政策を主張するトランプ次期米大統領の就任を来週に控え、一段の米金利上昇となれば高値圏にある米株価が調整しかねず、日本株も直撃を免れないとの警戒感がくすぶっている。

「日本株が金利に敏感な状況はしばらく続きそうだ」と、ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは指摘する。

前週末の米国市場では、12月の非農業部門雇用者数が25万6000人増加と市場予想の16万人増を上回り、失業率も低下したことを受けて長期金利が23年11月以来の水準に上昇。ダウ工業株30種やS&P500、ナスダック総合はいずれも1%超下落した。

13日にはダウとS&Pは反発したが、ハイテク株比率の高いナスダックは小幅続落し、高PER(株価収益率)株の弱い地合いがうかがわれる。東京市場でも、TOPIXの1.1%安に対し、アドバンテストや東京エレクトロン、ファーストリテイリングといった高PER銘柄の影響を受けやすい日経平均の下落が1.8%と大きくなった。

S&P500の益回りと長期金利の差であるイールド・スプレッドは、約四半世紀ぶりのマイナス圏にあり、割高の状態となっている。市場では「米金利が5%に跳ねると、米国株の調整が生じかねない」(みずほ証券の中村克彦マーケットストラテジスト)と警戒感が広がっている。

<円安の緩衝材が後退>

日本の連休中のナスダックの下落はトータルで2%だったのに対し、14日の日経平均は一時2%超安に下げを拡げた。米金利が上昇しながらも、ドル/円が前週末の終盤時点に比べて円高方向となったことも、買い見送り材料となった。

為替市場の動きについては、日銀による1月追加利上げの織り込みが影響しているとの見方がある。ドル/円の上昇につながる米金利上昇は、円安を抑止したい日銀による早期利上げの判断を促すとの思惑につながるとニッセイ基礎研の井出氏はみている。円安というショックアブソーバー(緩衝材)に期待しにくい中では、日本株への米株安の影響が出やすくなりかねない。

「(トランプ氏の言動で)米金利が上昇するリスクを踏まえて、日銀は利上げに含みを持たせているのではないか」と井出氏は指摘する。日銀の氷見野良三副総裁は14日午後、横浜市で開いた金融経済懇談会後の記者会見で、来週23―24日の金融政策決定会合の議論の焦点は「利上げするかどうか」だと明言した。

氷見野氏は、米国経済は「引き続き堅調に推移するというのがメインシナリオだ」とし、トランプ氏の就任演説を確認した上でメインシナリオの確度を確かめていきたいと述べた。

もっとも、高値警戒のある米国株に対し、日経平均とTOPIXのイールドスプレッドは現時点でプラスを確保しており「割安でもあり、下値耐性はありそうだ」(みずほの中村氏)との声もある。

トランプ氏の政策スタンスについては「米経済を悪いようにはしない」と東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストはみている。「(トランプ氏は)米株安やインフレは抑えようとする。不透明感が後退する中で、株価はしっかりしてくるだろう」といい、ショック安があれば押し目買いの好機との見方を平川氏は示している。

(平田紀之 編集:橋本浩)

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