ビットコイン、10万5000ドル突破 トランプ氏の戦略備蓄発言で

１２月１６日、 暗号資産（仮想通貨）ビットコインがアジア時間序盤で一時３％超高の１０万５０００ドル台を付け、過去最高値を更新した。写真はビットコインのイメージ。 ２０２３年１０月撮影（２０２４年　ロイター/Dado Ruvic）

暗号資産（仮想通貨）ビットコインが１６日のアジア時間で１０万６０００ドル台を付け、過去最高値を更新した。仮想通貨推進の姿勢を示すトランプ次期米大統領が戦略石油備蓄のようなビットコイン戦略備蓄を設ける案を示唆したことが追い風となった。

ビットコイン は一時１０万６５３３ドルまで上げ幅を拡大。直近では３．２％高の１０万４４６２ドル。イーサ は１．５％高の３９６５ドル。

ＩＧのアナリスト、トニー・シカモア氏は「市場が次に期待する数字は１１万ドルだ。多くの人が待っていた値戻しは起こらなかった。新たなニュースが出たからだ」と述べた。

トランプ氏は週末に米ＣＮＢＣで、仮想通貨について「中国だけでなく他の国も仮想通貨を受け入れている。そして、われわれは先頭に立つことを望んでいる」とした上で、戦略石油備蓄のようなシステムをビットコインにも設ける計画があるかとの質問に「そう思う」と答えた。

暗号通貨の戦略的準備構想は他の国でも出ている。今月、ロシアのプーチン大統領は、米国の現政権がドルを政治的に利用することで、ドルの国際基軸通貨としての役割が低下していると指摘。ビットコインを名指しし、多くの国が仮想通貨を含む代替資産に目を向けざるを得なくなっていると述べた。

暗号資産の情報サイト、コインゲッコーによると、世界の政府が保有するビットコインは７月時点で総供給量の２．２％相当。米国が約２０万ビットコイン、現在の価値で２００億ドル以上を保有する。ビットコイントレジャリーズによると、中国、英国、ブータン、エルサルバドルもビットコイン保有が多い。

ペッパーストーンの調査責任者、クリス・ウェストン氏は「ビットコインの戦略的準備についてはまだ慎重であるべきだと考える。少なくともすぐに実現する可能性は低いと考えるべきだ」と指摘。「戦略的準備の計画が進展していると期待させるトランプ氏の発言は明らかに追い風となる。だが、これには何らかの結果が伴うと考えられ、慎重に検討し、市場関係者に十分、情報伝達する必要がある」と述べた。

ビットコインは、トランプ氏が勝利した１１月の大統領選以来、５０％以上急伸している。

仮想通貨業界は、業界支持派の議員候補を支援するために１億１９００万ドル以上を寄付。また、トランプ氏は今月５日、ホワイトハウスの人工知能（ＡＩ）・暗号資産責任者に米決済サービス大手ペイパル の元最高執行責任者、デービッド・サックス氏を指名すると発表した。[nL6N3N705G]