再送非伝統的政策は完全な代替手段にならず、2%目標への政策運営が適切=日銀レビュー
ロイター / 2024年12月19日 13時41分
(見出しを修正しました)
Kentaro Sugiyama
[東京 19日 ロイター] - 日銀は19日、過去25年間の非伝統的金融政策手段の効果を分析した「多角的レビュー」を公表した。非伝統的な金融政策は、短期金利の操作による伝統的な金融政策の完全な代替手段にはなり得ず、可能な限りゼロ金利制約に直面しないように政策運営することが望ましいと指摘。景気悪化時に実質金利を引き下げられるよう小幅のプラスの物価上昇率を安定して実現していくことが重要で、引き続き2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向け金融政策運営をしていくことが適切とした。
2013年以降の大規模な金融緩和については、金融市場や金融機関収益などで一定の副作用があったものの、現時点で「全体としてみれば日本経済にプラスの影響をもたらした」と評価。一方、国債市場の機能度の回復が進まないことや、大規模緩和の副作用が遅れて顕在化することなど、今後マイナスの影響が大きくなる可能性には留意が必要とした。
大規模緩和については、量的・質的緩和を導入しなかった場合に比べて、13年度以降の期間平均で実質国内総生産(GDP)の水準にプラス1.3─1.8%、消費者物価(生鮮食品・エネルギー除く)の前年比ではプラス0.5─0.7%ポイントの政策効果があったと試算した。
日銀が採用してきたさまざまな非伝統的金融政策は、経済・物価を押し上げる効果を発揮してきたものの、定量的な効果は伝統的な金融政策に比べて「不確実」と指摘。今後、非伝統的な金融政策を用いる必要が生じた場合には、それがもたらす利益とコストを比較して判断していくことが重要とした。
多角的レビューの過程で行った意見交換では、大規模な金融緩和が財政規律の弛緩につながったという指摘もあったという。金融政策の目的は物価の安定であり、政府による財政資金の調達支援が目的の「財政ファイナンス」ではないことを明確にしていくことは、通貨の信認を確保して物価の安定を実現していく上で極めて重要との認識を示した。
日銀は23年4月、植田和男総裁が就任して初めての金融政策決定会合で1990年代後半以降の金融緩和策を多角的に分析することを決め、1年半ほどかけて調査・研究、意見交換を行ってきた。植田総裁は実施を決めた決定会合後の会見で、これまでの政策運営の理解を深めて将来に向けて有益な知見を得たいと説明していた。
この記事に関連するニュース
-
円安批判を忖度した日銀の利上げは間違っている 「今は政策金利が低すぎるから」は正しい判断か
東洋経済オンライン / 2025年2月3日 15時0分
-
今後、円安進行や金融の過熱回避の観点から政策調整必要=1月日銀主な意見
ロイター / 2025年2月3日 10時52分
-
利上げに前向きな2委員、米動向など注視で現状維持支持=日銀12月会合要旨
ロイター / 2025年1月29日 11時56分
-
日銀審議委員に小枝・早大教授、安達委員の後任 政府提示
ロイター / 2025年1月28日 14時12分
-
今後も見通し実現なら利上げ、ペースや時期は経済・物価次第=日銀総裁
ロイター / 2025年1月24日 17時28分
ランキング
-
1「横浜駅に頼らない路線」神奈川県ご当地鉄道事情 代表格は「ロマンスカー」でおなじみの大手私鉄
東洋経済オンライン / 2025年2月5日 6時30分
-
2【速報】ホンダとの経営統合が破談 日産が協議“打ち切り”方針を固める ホンダからの「子会社化」提案に反発 幹部「到底受け入れられない」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年2月5日 15時38分
-
3「一緒にやっていくのは難しい」ホンダと日産の経営統合“破談”が現実味 ホンダは日産の「子会社化」を打診も日産幹部「受け入れられない」と反発
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年2月5日 11時51分
-
4ホンダ・日産の株価急上昇、需給巡る思惑先行 破談報道でも
ロイター / 2025年2月5日 10時39分
-
5やりすぎやん、スシロー! 鶴瓶のCM“抹消”は危機管理的にアリかナシか?
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月5日 6時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください