1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

次の利上げへ「もう1ノッチ」、賃上げ・米国動向を注視=日銀総裁

ロイター / 2024年12月19日 17時46分

 12月19日、日銀の植田和男総裁は、金融政策決定会合後の会見で、現在の実質金利は極めて低い水準にあるとの認識を示し、今後、日銀の経済・物価見通しが実現していけば、それに応じて利上げし金融緩和度合いを調整していくと述べた。写真は10月31日、都内で撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada Kentaro Sugiyama

[東京 19日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は19日、金融政策決定会合後の会見で、経済・物価は想定通りの推移を続けており、日銀の見通しが実現する確度は「多少なりとも上がっている」ものの、次の利上げ判断に至るには「もう1ノッチ(段階)ほしい」と話した。政策変更に当たって来年の春闘の動向とトランプ米新政権下での経済政策運営を注目点に挙げたが、来年1月の次回会合までで得られる情報やデータが見通しの確度を1ノッチ分引き上げるのに十分かは「現時点では何とも言えない」とした。

植田総裁は現在の実質金利は極めて低い水準にあるとの認識を示し、今後、日銀の経済・物価見通しが実現していけば、それに応じて利上げを行い金融緩和度合いを調整していくと改めて述べた。最近の経済・物価に関する指標がおおむね見通しに沿って推移している中で利上げを見送った理由については「賃金と物価の好循環の強まりを確認するという視点から、来年の春季労使交渉に向けたモメンタムなど今後の賃金動向についてもう少し情報が必要」と説明した。海外経済の先行きが引き続き不透明で、米国のトランプ次期政権の経済政策を巡る不確実性も大きいとの見方を示した。

米次期政権の財政政策、通商政策、移民政策は米国の経済・物価だけでなく「世界経済や国際金融資本市場にも大きな影響を及ぼし得る」と指摘した。ただ、現時点では関税強化の実現性が不透明で「定性的にも定量的にもはっきりしたことは申し上げにくい」と話した。

植田総裁は今後の利上げに関して「特定のデータやイベントを待たないと判断ができないというものではない」とし、毎回の会合で利用可能な各種のデータや情報を丹念に点検して判断していく考えを示した。春闘もトランプ米政権の政策も「相当長い期間を見ないと全体像は判明しない」と指摘。次回1月の会合は支店長会議の結果や、それまでに判明している春闘の動向、米政権の政策などを参考した総合判断にならざるを得ないと語った。

植田総裁は会見で、利上げを急がずゆっくり取り組む背景として基調的物価上昇率の上昇や期待インフレ率の上昇がゆっくりしていることを挙げた。一方で、利上げを待つ間にビハインド・ザ・カーブに陥るリスクも考慮した上で政策判断していると説明した。

日銀は今回の会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%程度で据え置くことを決めた。田村直樹委員が、経済・物価が見通しに沿って推移する中、物価上振れリスクが膨らんでいるとして0.5%程度に利上げする議案を提出したが、反対多数で否決された。

同時に公表した「金融政策の多角的レビュー」では、非伝統的な金融政策は短期金利の操作による伝統的な金融政策の完全な代替手段にはなり得ず、可能な限りゼロ金利制約に直面しないように政策運営することが望ましいと指摘。引き続き2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向け金融政策運営をしていくことが適切とした。

植田総裁はレビューの結果について「当面の金融政策運営に直ちに影響を与えるものではないが、長い目で見て金融政策のあり方を考える上で貴重な材料を提供するものになった」と意義を強調した。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください