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登録者1000万超YouTuberが始めた「SNS大学」 「大学」名乗るのは法的にセーフ?弁護士に聞いた

J-CASTニュース / 2024年4月1日 12時18分

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「HERO'ZZ UNIVERSITY」公式サイトより

人気YouTuber・ヴァンビさんが2024年3月26日、「SNS大学」を始めるとXで発表した。SNSフォロワーや「案件」の獲得を目指すオンラインレッスンのサービスだ。

発表を受けてXでは、「大学ではない施設が『大学』を名乗るのは違法」「学校教育法には抵触しないのかな?」といった指摘も散見される。今回の件に限らず、様々なサービスなどが「大学」を名乗るたびに出される疑問だが、実際はどうなのか。法的観点からの見解を弁護士に取材した。

たびたび引き合いに出される学校教育法第135条

元「ヴァンゆん」のヴァンビさんは、正体不明のYouTuber「スパイダーメーン」(現・Spider VAMBI)として22年7月に開設したチャンネルが約1年で登録者1000万人を達成し、中の人だと明かしたことでも話題を呼んだ。

「SNS大学」の発表に際し、ヴァンビさんはXに公開した動画でも「大学」をつくると訴え、「バズ学」と題した「新たな学問」を提供すると説明。バズの本質を追求するものだという。

公式サイトは「1年制のオンラインSNS大学」をうたい、「HERO'ZZ UNIVERSITY」「HERO'ZZ大学」を名乗っている。現役のクリエーターを講師に据え、SNSに関して「1年後に全員が『フォロワー10万人以上』『案件獲得』を目指す『超実践型』の本格マンツーマンレッスン」を行うという。料金プランはいずれも1年コースの2種類で、受講料が総額87万7800円(税込)、または65万7800円(税込)。

実際、このサービスの名称には問題があるのだろうか。「弁護士法人・響」古藤由佳弁護士に29日、法的観点から解説してもらった。

まず、教育機関の名称の使用については、学校教育法の第135条で、「専修学校、各種学校その他第一条に掲げるもの以外の教育施設は、同条に掲げる学校の名称又は大学院の名称を用いてはならない」と定められている。第1条記載の教育機関とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校だ。

Xでは、135条を引き合いに、サービスの名称は問題ではないかと解釈する声が上がっていた。しかし古藤弁護士は、今回の件は「学校教育法違反にはならない」とみる。

「学校教育法により認可を受けている『大学』である印象を与えるものではありません」

学校教育法で名称の使用が規制される対象は、あくまでも「教育機関」であるためだという。135条に関して下記のように詳しく述べる。

「『専修学校、各種学校その他第1条に掲げるもの以外の教育施設』とは、職業能力開発促進法に基づく公共職業能力開発施設、児童福祉法に基づく保育所、防衛省設置法に基づく防衛大学校のように、当該教育を行うにつき学校教育法以外に特別の規定があるものや企業内における従業員教育施設あるいは私塾などを指すとされるため、本件ヴァンピさんが設立した株式会社HERO'ZZは教育施設ではないので、形式的にみて学校教育法違反にはならないものと思います」

ただ、仮に同社が形式的に教育施設に当たらないとしても、学校教育法の趣旨に鑑みて、名称の使用が認められないことも考えられるという。

「学校教育法135条1項の趣旨について、裁判例は、『教育施設である「学校」の設置基準を法定した上で、この基準を満たした教育施設にのみその基本的性格を表示する学校の名称を使用させることによって、学校教育制度についての信頼を維持しようとする』ことであるとしています(知財高裁平成23年5月17日(平成23年(行ケ)10003号)。

この趣旨から、法135条1項違反になるか否かは、学校教育法により設置の認可を受けていない教育施設が、『大学』の呼称を使うことによって、あたかも学校教育法により設置の認可を受けている教育施設かのような印象を抱かせたか否か、で判断されます。

ここで本件についてみると、設立の目的としては、クリエーター養成という教育目的であるようにも見えますが、大学の名前が『HERO'ZZ大学』と大変ポップな名前で、対象者も、『日本在住の15歳以上』となっており、学校教育法により認可を受けている『大学』である印象を与えるものではありません」

「したがって、本件名称利用は、学校教育法違反にはならないものと思料します」と、古藤弁護士は結論づけた。

仮に、学校教育法違反があった場合はどうなる?

仮に、「大学」という名称の使用について、学校教育法違反があった場合はどのように処されうるかも尋ねた。

古藤弁護士は「10万円以下の罰金」(学校教育法146条)になると説明。ほかにもサイト上の表記を変更したり、過去の投稿を削除したり、「学校教育法により認可を受けた『大学』ではないこと」を改めて周知することなどが考えられるという。

例えば、学校教育法違反の名称を商標登録しようとしても、「商標登録は認められず、このため、広く当該名称を使用することは事実上できないと思います」との見解だ。「商標登録しないまま名称使用していた場合、他に同一の名称を使う人が先に商標登録して、商標権侵害ということで損賠賠償請求されたりするリスクがあるため」と補足した。

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