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「特別市」目指す川崎・横浜・相模原…神奈川県は「えっ!独立?」「分断」とけん制

読売新聞 / 2024年6月15日 14時1分

神奈川県が作ったパンフレット。6000部が県内の自治体などに配布された

 政令市が道府県から行政権限や財源を得て独立する「特別自治市」(特別市)制度を巡り、神奈川県が否定的な見解をまとめたパンフレットを作った。実現を目指す川崎、横浜、相模原市を 牽制 けんせいした格好で、県と3政令市でさや当てが繰り広げられている。

 「知事自ら何度も表現やデザインを検討した」(県幹部)というパンフレットの表紙には、「えっ! 独立?」「分断」など、挑発的とも取れる言葉が並ぶ。黒岩祐治知事は5月の定例記者会見で「私が見る限り、政令市民が(実現に向け)盛り上がっていると感じられない」と述べた。

 特別市は住民に身近な市の仕事に加え、道府県の仕事も原則全て担う。1947年の地方自治法施行時に規定されたが、税収減を懸念する府県の反発で廃止。折衷案で政令市が誕生した。

 政令市と道府県は、箱物建設を競うなど二重行政の弊害が指摘されてきた。大阪では解消を図ろうと、市を解体する「大阪都」構想が検討されたが、特別市は市が独立する異なる制度だ。地方自治法改正などが必要で、13政令市による「多様な大都市制度実現プロジェクト」は先月、国や経済界への働きかけを確認した。

 黒岩知事が危機感を強めるのは、3政令市で県人口の6割超を占め、県税収入の6割を頼るからだ。県の試算では、3市が特別市となれば680億円の財源が不足し、行政サービスは著しく下がる。新型コロナのような感染症で医療機関が 逼迫 ひっぱくした時の入院調整などにも支障が出るとしている。

 一方、政令市側には、企業を誘致しても税源を市の施策に十分還元できないとの不満がある。福田紀彦・川崎市長は「法制化に県の了解がいるわけでなく、国の理解を得て進めたい」と反発。山中竹春・横浜市長は「人口減社会になる中、地方都市が成長のエンジンになる方策として特別市は必要」と強調する。

 主張は平行線をたどり、3市長の申し入れで2022年5月に知事との初協議が実現したものの、その後、協議は行われていない。

 明治大の牛山久仁彦教授(行政学)は「住民不在の議論になっていないだろうか。3政令市民だけでなく、全県民が制度の利点や課題を正しく理解できるよう自治体の努力が必要だ」と指摘している。

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