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五輪マスコット「フリージュ」、地元では不人気?…パリジャン「かわいいけどシックじゃない」

読売新聞 / 2024年8月3日 10時26分

オリンピック関連の看板などでしばしば見かける大会公式マスコットの「フリージュ」(8月1日午後4時34分、パリ市中心部で)=深井千弘撮影

[パリ五輪こぼれ話]

 オリンピックと言えば、テレビ中継などでしばしば目にするのが公式マスコット。パリオリンピックでは、「フリジア帽」と呼ばれる帽子をモチーフにした「フリージュ」というキャラクターがマスコットになっています。フリジア帽とは、フランス革命の際などにかぶられた帽子で、自由を象徴するもの。今回のマスコットには、フランス史の一端を世界へ発信する役割も期待されています。

グッズを身に着ける人は少数派

 ただ、観戦客らがこぞって、ぬいぐるみや関連グッズを買い求めているかと言うと、必ずしもそうではなさそうです。2年前の北京冬季五輪では、パンダをモチーフにした公式マスコット「ビン・ドゥンドゥン」が空前の人気を博しましたが、そこまでのブームにはなっていません。各地の競技会場で見渡してみても、「フリージュ」グッズをスタンドで身につけている人は、少数派。フリージュのTシャツを着たり、帽子をかぶったりしている人を見つけるのは意外に大変です。

「子供が着るものでしょ」

 フランスの観客に話を聞きながら、浮かんできたキーワードが「シック(chic)」です。フランス語で「粋な」「しゃれた」などといった意味の言葉は、身なりや装いに気を使うフランス人にとって大切な価値観の一つ。パリの目抜き通り「シャンゼリゼ通り」に設けられた五輪公式グッズ販売店で、「France」という小さなロゴが入ったTシャツとスエットシャツを購入した、ディジョン出身のトマ・グニョさんは「フリージュはかわいいけど、シックじゃない。僕は好きじゃない。子供が着るものでしょ」と話しました。北京冬季五輪で巻き起こったビン・ドゥンドゥン人気についても、「アジアでは大人もああいうのが好きなんだろうけど、フランスはそうじゃない」と言い切ります。

 手のひらサイズのフリージュのぬいぐるみを購入した女子大学生のクララ・エブラさんも「フリージュは好き」と前置きしながらも、「もしフリージュのTシャツを持っていたとしても、外出するときには着ない。着るなら、家の中だけ」と話します。実際、「フリージュ」グッズを手にして店から出てくる客層を見ていると、外国人やフランス人の子供たちが多い印象です。

ド派手な帽子の2人組「話しかけられるから」

 そんな中、「フリージュ」の帽子をかぶった2人組の男性に、ある競技会場で出会いました。ともにドイツ・ケルン在住で、スペイン人のラウル・イバニェスさんとドイツ人のマーク・スタインガスさんです。大人がかぶっている姿を見かけるのはあまりに珍しいので、購入した理由を尋ねると、こう答えてくれました。「かぶっていると、あなたみたいに話しかけてくれる人がいるからだよ」。さらにスマホを取り出し、ニコニコしながらある映像も見せてくれました。スタンドでフリージュの帽子をかぶり、派手な動きで応援している様子が、テレビ中継に映されたのだそうです。

 帽子の価格は1個40ユーロ(約6400円)とやや高いのが玉にきずですが、メディアの注目を集めることには成功し、二人はまんざらでもなさそうです。フリージュが熱狂的な人気を得るには至っていない今、会場で目立つなら、それを逆手に取ってみるのも、一つのアイデアかもしれません。(デジタル編集部 深井千弘)

 パリオリンピックを巡る様々な話題を、ユニークな視点で随時お届けするコーナーです。

ふかい・ゆきひろ 1977年生まれ。2000年に入社し、地方支局や運動部などを経て、2022年からデジタル編集部。オリンピックの取材は3年前の東京大会に続いて2度目。好きなフランス映画は「最強のふたり」。

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