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飯館村産ホップで作った地ビール完成…東大農学部生らが「育てられるのでは」と栽培着想

読売新聞 / 2024年10月27日 17時3分

完成した飯舘村の地ビールを前に笑みを浮かべるプロジェクトメンバーの学生たち(26日、飯舘村で)

 福島第一原発事故で全村避難を経験した飯舘村で、地ビールを特産品にする動きが盛り上がっている。阿武隈山地の冷涼な気候を活用し、東京大農学部の学生らが中心になってビールの原料となるホップの栽培を手がけた。完成した地ビール「IITATE ReCRAFT」が26日、同村でお披露目された。(佐々木崇太)

 「マスカットのような匂いがする」。この日、同村の宿泊体験館「きこり」で開催されたお披露目会で地ビールを口にした参加者からは、驚きの声が漏れた。香りを生むカスケードや苦みをもたらすマグナムなど、村内で栽培された9品種のホップを使用したことで、フルーティーな匂いと、ビール本来の苦みと酸味のバランスがとれた味わいが生み出されたという。

 同村は2011年の原発事故で6年間にわたり全村避難を余儀なくされた。一部を除き避難指示は解除されたが、村内に住むのは原発事故前の4分の1程度の約1500人にとどまり、農業をはじめとする産業の振興が大きな課題だ。

 村の山林には、ホップの近縁の「カラハナソウ」が自生している。村の地域振興の実践のため訪れていた東京大の学生が昨年、「カラハナソウと似た環境で育つホップも育てられるのでは」と着想した。冷涼な環境を好むホップは、国内で適した生育環境を持つ地域が少ない。ホップから地ビールをつくれば他地域にない特産品にでき復興につながると、開発が始まった。

 「飯舘村ホッププロジェクト」と銘打ち、学生有志約20人が村内の畑約2アールを借りて今年4月から約50株のホップ栽培を始め、8月末には収穫にこぎ着けた。醸造は福島市のクラフトビール醸造所が協力し、約200リットルが今月完成した。

 プロジェクトの志賀智寛共同代表(25)は「ビールには飯舘村の自然の恵みと、村への恩返しがつまっている。ビールを通して、村がいっそう盛り上がってほしい」と話していた。

 ビールは27日に村内の道の駅「いいたて村の道の駅までい館」で開催される「いいたて秋まつり」で提供されるほか、同館などで11月上旬から販売される。

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