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ふるさと納税PR巡る官製談合、有罪判決の前市長「毎日考えていた」「ポカーンと大事なもの抜かした」

読売新聞 / 2024年10月29日 9時55分

 佐賀県神埼市のふるさと納税PR強化事業を巡る官製談合事件で、官製談合防止法違反などに問われた前市長の内川修治被告(72)に対し、佐賀地裁は28日、懲役2年、執行猶予3年(求刑・懲役2年)の有罪判決を言い渡した。岡崎忠之裁判長は「独善的で身勝手な犯行」と述べた。

 判決によると、内川被告は市が公募型プロポーザル方式で実施したふるさと納税PR強化事業に関する業務委託契約で、地元コンサルティング会社「ブルー・フラッグ」(解散)を選定させようと計画。市長だった昨年2~3月、同社の元代表取締役(懲役1年、執行猶予3年の有罪判決が確定)と共謀し、秘密事項の評価委員名や他社の提案書を、元代表に教示、提供するなどした。

 被告側は動機について「選挙時の公約であるふるさと納税の目標寄付金額の達成にあり、私的利益の追求ではなかった」などと主張していたが、判決は「親密な関係にあった元代表からの私的な依頼に応じ、市長としての職責に反する違法行為に手を染めたものにほかならない」と判断した。一方、市長を辞職したことなどを踏まえ、執行猶予を付けた。

寄付額 近隣3町に後れ焦り

 内川被告は公判で、神埼市の人口がこの20年ほどで1割近く減り危機感を抱く中で、打開策として目を付けたのがふるさと納税だったと明かしていた。

 背景には、内川被告が「福祉サービスが充実している」とみていた同市近隣の佐賀県上峰、みやき、吉野ヶ里の3町の存在がある。3町は、ふるさと納税による税収を伸ばしており、2023年度の寄付額は上峰町が県内で最も多い75億円、吉野ヶ里町は3位の36億円、みやき町は4位の29億円に対し、同市は18億円だった。

 被告人質問では、内川被告は裁判長に順法意識が希薄になった理由を尋ねられ、こう答えていた。「ふるさと納税を毎日考えていて、ポカーンと大事なものを抜かしてしまった」

 ふるさと納税制度に詳しい慶応大の保田隆明教授(商学)は「ふるさと納税は首長の通信簿のようになっていて注目度も高く、返礼品の地場産品基準に抵触するケースなどルール違反ぎりぎりを攻める自治体が見られてきた。自治体側はルールを厳守するとともに、制度に過度に固執せず、健全な活用を目指すべきだ」としている。

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