北朝鮮外相がロシアへ、派兵見返りの軍事技術・経済的支援を協議か…米「派遣増える可能性」

北朝鮮の崔善姫外相＝ロイター

　【ソウル＝依田和彩、ワシントン＝田島大志】朝鮮中央通信は２９日、北朝鮮の崔善姫（チェソンヒ）外相がロシアを公式訪問するため、２８日に平壌（ピョンヤン）を出発したと報じた。ウクライナを侵略しているロシアへの北朝鮮兵士の派遣が確認されており、露朝間の連携について協議するとみられている。

　崔氏は９月にも訪露した。同通信は訪問の目的や期間など詳細は明らかにしていない。派兵の見返りに、ロシアから北朝鮮に対する軍事技術や経済的な支援が議題になる可能性がある。

金正恩 （ キムジョンウン ） 朝鮮労働党総書記の訪露に向けた調整が行われるとの指摘もある。

　一方、米国務省のマシュー・ミラー報道官は２８日の記者会見で、北朝鮮兵のロシア派遣を巡り、中国と協議したことを明らかにした。中国が北朝鮮やロシアに強い影響力を持っていることを踏まえ、「隣国である両国が、（地域の）安定性を損なうような行動を取っていることを懸念すべきだと明確に伝えた」と述べた。

　米国防総省のサブリナ・シン副報道官は２８日、約１万人の北朝鮮兵がロシア東部で訓練を受けたとの分析を記者団に明らかにした。一部は露西部への移動を始めており、数週間以内にクルスク州などウクライナとの国境付近に派遣されるとの見方を示した。

　シン氏は「プーチン露大統領の絶望感が強まるにつれて、その数はさらに増える可能性がある」とも指摘した。

　米国が主導する北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）のマルク・ルッテ事務総長は２８日、北朝鮮兵が露西部クルスクで展開していることを確認したと述べていた。