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東日本の電力需給改善へ一歩、今冬は企業・家庭に「節電要請」行わず…女川原発2号機再稼働

読売新聞 / 2024年10月29日 23時9分

 東北電力の女川原子力発電所(宮城県)2号機が29日に再稼働し、東日本の電力需給の改善へ一歩踏み出した。国内では今後も電力需要の伸びが予想されており、政府は安定的な供給に向け、他の原発の再稼働を進めたい考えだ。

12月にも営業運転

 「東日本の原発としても、国内のBWR(沸騰水型軽水炉)としても震災後初めての起動で、大きな節目になる」。武藤経済産業相は閣議後の記者会見でこう述べ、今冬は企業や家庭への節電要請を行わない方針を明らかにした。

 女川2号機は12月にも営業運転を始める予定で、東北電管内の供給力は単純計算で5%程度の底上げになる。全国で最も需給が逼迫ひっぱくする東京電力管内でもプラスになる。東北と東京は連系線でつながっており、東京向けには最大650万キロ・ワットを送ることができる。

基準を厳格化

 政府は2023年に脱炭素電源として原発を「最大限活用する」と閣議決定したが、東日本を中心に再稼働は遅れている。東日本大震災前に国内で稼働していた54基のうち、廃炉が決まった21基を除き、新規制基準の安全審査に合格したのは17基にとどまる。

 新規制基準は東電福島第一原発の事故を教訓に定められたもので、地震や津波といった自然災害への対策の基準が厳格化された。このため電力会社は対応に時間を要し、原子力規制委員会の審査が長期化するようになった。

電力料金に格差も

 政府のエネルギー基本計画では、30年度に原発の電源比率を20~22%に引き上げる目標だが、22年度はわずか5・5%。女川2号機に続く再稼働も、12月の中国電力島根原発(松江市)2号機以外は決まっていない。東電柏崎刈羽原発(新潟県)6、7号機は17年に安全審査に合格したが地元同意を得られていない。

 再稼働の遅れに伴い、東日本の電気料金は西日本より約2割高いという格差が生まれている。国内では今後、人工知能(AI)の普及やデータセンターの増加で必要な電力量が伸びると予想される。電力の供給体制が不十分なままでは、半導体工場の誘致などにも支障が出る恐れがある。

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