福島・飯舘出身の20歳、次は自分が村を守る番「思いを声にし原動力が湧いてきた」
読売新聞 / 2025年1月14日 17時0分
成人の日を前に12日、福島県内各地で20歳を祝う式典が開かれた。東日本大震災や福島第一原発事故の時、小学校に入学する直前だった若者たちは、友人や学校の先生と再会を喜び、大人への一歩を力強く踏み出した。
人生の一瞬一瞬大切に 南相馬・渡部さん
福島県南相馬市では市民文化会館「ゆめはっと」で式典があり、300人が参加した。「原発事故や新型コロナで貴重な青春の時間が奪われたが、多くの人に支えられながら20歳という大きな節目を迎えられた」。オリーブ色の振り袖に身を包んだ
震災が起きた日は幼稚園の卒園式前日だった。震災後、家族で福島市に避難。1か月だけ在籍した小学校では自分だけジャージーの色が違った。南相馬市に家族で戻った後、原発から30キロ圏外の学校の仮校舎にバスで通ったが、気持ちが落ちつかず、息苦しさがあった。
「震災の記憶がまだ私たちの世代にはある。地元に貢献したい」と、現在は市職員となり、市民課で住民と向き合う日々を送る。「後悔を恐れず素直にやりたいと思うことに挑戦し、人生の一瞬一瞬を大切にしていきたい」と話した。
自分が村盛り上げる番 飯舘・高野さん
原発事故で全村避難を経験した福島県飯舘村では、10人が「二十歳の成人式」に出席した。
村出身で同県相馬市へ避難した大学生の高野龍晴さん(20)は「誓いのことば」で「村が復興の一途をたどっているのは、地域の皆さんの努力と村外の方の助けがあったから」と感謝の気持ちを述べた。
村で生まれ育ったが、原発事故によって小学校に入学して約1か月で父の職場がある同県相馬市に移り住んだ。村の家の前には桜が連なり、近くには小川も流れていた。家族と散歩した村の景色が大好きだった。
「ぽいっと放置されて廃れるのではなく、守ってくれている人がいる」。次は自分が村を盛り上げる番だと考えている。式を終えて「自分の思いを声にしたことで、行動に移す原動力が湧いてきた」と気持ちを新たにした。
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