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最先端技術で「デジタル俳優」も…韓国ドラマに並ぶ人気、圧巻スケールの「華流」ドラマ

読売新聞 / 2025年1月14日 5時0分

 中国ドラマの輸出が2022年に803作品(政府発表)となり、10年前から倍以上に増えた。巨大経済圏構想「一帯一路」の影響下にある東南アジアを中心に韓国ドラマに並ぶ人気という。

豪華なセット、制作費100億円も

 最大の魅力は、壮大なスケールだ。14億人から選び抜かれた俳優陣、広大な土地を生かした大がかりで豪華な撮影セット、中国の伝統技術を生かして細部にまでこだわった小道具、完成に数か月かける衣装の美しさが織りなす。潤沢な制作費に支えられており、中国ドラマを研究する茨城大の西野由希子教授(中国文学)によるとNHK大河ドラマが約32億円(21年、推定)なのに対し、中国では100億円規模も珍しくない。

 撮影基地も桁外れに大きい。

 東部・浙江省金華市にある「横店」は、世界最大規模の撮影基地で中国のハリウッドと呼ばれる。日本映画「キングダム」が撮影された。

 約2000の制作会社がひしめき、明代の故宮から現代の香港の町並みまで再現できる約50の大型ロケ地と約130の室内スタジオがある。小道具や衣装を手がける会社、調教された馬を提供する店、町在住の約14万人のエキストラなど「お金さえあれば何でもそろう」(広報担当者)。

最先端技術で「デジタル俳優」生成

 最先端のハイテク技術も整う。東部・山東省の「青島東方影都」は、東京ドーム約36個分の敷地を持ち、世界的にヒットしたSF映画「流転の地球―太陽系脱出計画―」が制作された。

 人の動きを約150台のカメラで取り囲んで撮影し、合成することでデジタル俳優を生成。特殊メイクなしで俳優を若返らせたり老いさせたりもできる。最高責任者の孫恒勤氏は「今後も最先端技術を導入し、最高の作品が制作できる環境を提供したい」という。人工知能(AI)を駆使して生身の俳優ではできない超人的な演技も披露する。

 多くの俳優を輩出する大学は狭き門だ。中国メディアによると、著名な北京電影学院の演劇専攻の倍率は19年に174倍に上った。北京大や復旦大といった著名な大学に匹敵するという。中国で俳優は高収入を得られるため若者の憧れだ。

「陳情令」ヒット

 中国ドラマといえば三国志や西遊記が思い浮かぶが国家広播電視総局によると、23年に制作されたドラマ156作品のうち歴史ものは2割以下の27作品だった。最近は、サスペンス、ミステリー、ヒューマンドラマなど現代劇が人気だ。

 男性同士の友情を描いたドラマ「陳情令」が19年に放映された後、日本の女性ファンも増えた。ネット配信される作品も増えた。最近は、中国で話題になる前に既に日本での配信が決まるといった「ほぼ時差なく放映される」(専門家)ケースも増えた。「陳情令」の原作はボーイズラブ(BL)小説だ。

 台湾では同性婚が合法になって以降、LGBTQ(性的少数者)をテーマとする作品が量産されているが、中国で陳情令は、ブロマンス(男同士の友情)設定に置き換えて検閲を通過した。

 国策ドラマも制作されている。

 昨年11月からは、習近平シージンピン国家主席の父・習仲勲氏が主人公のドラマ「西北歳月」が国営中央テレビで放送された。共産党に忠誠を尽くす姿が描かれ、習氏の権威を高め、党への忠誠心を促す狙いだ。目の肥えた視聴者を意識し、あからさまな宣伝ではない国策ドラマも作られている。

 ドラマの放映には国家広播電視総局の審査と許可が必要だ。制作側は放映中止を恐れてタブーをおかさないように注意を払う。

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