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北朝鮮「捕虜になるなら自決や自爆」強要か…ロシア派兵で死傷者多数、情報漏れを警戒か

読売新聞 / 2025年1月14日 6時49分

 【ソウル=小池和樹】ウクライナが越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州に派遣された北朝鮮兵の実態が明らかになってきた。捕虜の証言や韓国の情報機関の分析によると、北朝鮮当局は詳細を知らせないまま兵士をロシアに送り、捕虜になるなら自決や自爆をするよう強要している模様だ。一方、ウクライナは捕虜の証言などを公開し、北朝鮮やロシアを揺さぶる狙いがあるとみられる。

捕虜交換

 「ロシアが捕らえたウクライナ軍兵士との交換ができるなら(北朝鮮兵士を)金正恩キムジョンウン(朝鮮労働党総書記)に引き渡す用意がある」

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は12日、SNSへの投稿で、前日公表した北朝鮮兵捕虜についてウクライナ軍兵士との交換に応じる意向を示した。通訳を介した尋問の動画では、捕虜の1人が北朝鮮への帰国を望んだものの、もう1人はウクライナに滞在する意向を示したことも明らかにされた。

 ゼレンスキー氏は、報道機関による北朝鮮兵捕虜への取材を認める方針を示している。兵士を取り巻く厳しい内情を国際社会や北朝鮮国内にも拡散することで、ロシアとの連携を強化する金正恩体制への打撃を狙っているとみられる。

当局のメモ

 韓国の情報機関・国家情報院(国情院)は13日の国会報告で、北朝鮮兵の死者が300人以上、負傷者は2700人を超えるとの見方を示した。韓国やウクライナは北朝鮮兵約1万1000人がクルスク州に派遣されたとみており、全体の3割弱が死傷したことになる。死傷者数に対して捕虜は極めて少ないと言えそうだ。

 これに関し、国情院は負傷して捕虜になりそうな場合には自爆や自決をするよう強要する北朝鮮当局のメモを、死亡した北朝鮮兵が所持していたと指摘した。出席した国会議員が記者団に明らかにした。

 捕虜になりかけた北朝鮮兵が「金正恩将軍」と叫び、手投げ弾で自爆を試み、ウクライナ軍に射殺されたケースもあったという。北朝鮮は派兵を正式に認めていない。北朝鮮の派兵に関する情報が漏れることを警戒し、生け捕りにはならないよう命じている可能性がある。

かん口令

 国情院は多数の死傷者が出た要因として、無人機攻撃への対応力の低さを挙げた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが11日報じた北朝鮮兵の日記には、北朝鮮兵が3人1組で無人機攻撃に対処する方針が記されていた。1人が「おとり」となって無人機に狙わせる「捨て身」の戦術だ。国情院は、後方支援がない「突撃戦術」も死傷者増加の一因とみている。

 北朝鮮国内では国民の動揺を抑えるため、かん口令が敷かれているが、派遣された兵士の情報が拡散している模様だ。国情院によれば、当局は兵士を英雄視し、家族らに食糧や生活必需品を提供しているが、兵士の家族からは「大砲の餌食だ」と心配する声が上がっているという。

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