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「外交は、最後は人間関係」……韓国やフランスの大使を歴任した外交官は語る

読売新聞 / 2025年1月17日 15時30分

富永健太郎撮影

「外交秘録 表と脇と裏舞台」小倉和夫さん

 韓国やフランスの大使などを歴任した元外交官がつづったのは、華やかな首脳外交の表舞台や、公になる前のロッキード事件を秘密裏に調べた裏話だけではない。表と裏をつなぐ「脇舞台」での出来事を重点的に盛り込んだ。

 韓国赴任時には伝統芸能のパンソリを習い、心情を感じ取った。中国高官と交わされた雑談の中には、外交的に重要な意味が含まれていると悟った。「表裏だけでなく、横から見ることが大切だと訴えたかった」と振り返る。

 「脇」は、好きな能のワキになぞらえてのもの。座っている時間が長く、「観客であると同時に俳優」であるところが、外交官とよく似ているという。「没入して仕事をするだけでなく、自らを客観視しなければならない」。外交にある偽善的要素を偽善として見極めるためにも、脇からの視線を重視する。

 1938年、東京生まれ。愛国主義者で軍需工場を営んだ祖父は、勇ましい名前を望んだ。だがリベラルな父は、「平和の『和』の字を使ってほしい」。「両方の影響を受けて育った」と笑う。小学校3、4年生の頃、進駐軍の喚問に苦しんでいた祖父に英語学習の重要性を諭され、6年生のときの担任教師からは外交の大切さを教えられた。外交官への思いが膨らんだ。

 日本財団パラリンピック研究会代表などを務める今も、日本外交を注視する。「アジアを語る人がいなくなったのが残念。官僚機構の元気もなくなった」。安全保障をめぐる議論についても「最大の安全保障は友好関係を保つことなのに、すぐ抑止力の話になる」と憂える。

 本書では、漢詩や書などを通じた首脳交流なども紹介した。「外交は、最後は人間同士の関係。多様で膨らみある付き合いが、平和にはもっとも重要ではないか」(論創社、3520円)小林佑基

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