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在日文学作家の李恢成さん死去、89歳…「砧をうつ女」で芥川賞

読売新聞 / 2025年1月14日 12時56分

李恢成さん(2005年7月8日)

 在日文学を代表する作家の一人、李恢成(り・かいせい)さんが5日、肺炎のため東京都内の病院で死去した。89歳だった。告別式は家族で済ませた。

 1935年、旧樺太(ロシア・サハリン)に住む朝鮮半島出身者の家に生まれ、終戦後引き揚げた札幌で少年時代を過ごした。早稲田大卒業後、朝鮮新報社勤務などを経て文筆を始め、早世した母のことを踏まえた短編「きぬたをうつ女」で72年、芥川賞を受賞。在日朝鮮・韓国人で初めての受賞となった。

 一方、冷戦で北朝鮮と韓国が激しく対立する中で、「北であれ南であれ、わが祖国」と主張、政治的にも注目された。旧樺太を34年ぶりに訪ね執筆した「サハリンへの旅」(83年)は戦後、同地に取り残された旧植民地時代の朝鮮半島出身者の問題を掘り起こした。「伽倻子かやこのために」は、小栗康平監督が映画化した。

 終戦後の急激な社会変化に翻弄ほんろうされる在日の人々を、大きなスケールで描いた「百年の旅人たち」で94年、野間文芸賞を受賞。ほかの著書に「流域へ」など。晩年は自らの体験を集大成した長編「地上生活者」の執筆に力を注いだ。

文芸評論家の川村湊さんの話「在日の作家として、『北』でも『南』でもなく、常に旅人の立場から書き続けた。故郷に縛られることなく、流離する人間として世界を見ていた」

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