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北京でありついた熱々の「豚モツ煮込み」…物価高騰から生まれた庶民の軽食です

読売新聞 / 2025年1月17日 9時24分

 氷点下の北京では、温かい料理が恋しい。そんな時は煮込み料理、「鹵煮火焼(ルージューフオシャオ)」をおすすめしたい。豚のモツと「火焼」と呼ばれる平べったい堅焼きのパンを煮込み、うま味たっぷりのスープと食べる庶民的な軽食だ。

臭みはなく、脂っこくもない

 人気店「陳記鹵煮小腸」で行列に並び、熱々の一杯にありついた。どんぶりに豚の腸や肺などのモツのほか、角切りにした火焼、揚げ豆腐、茶色のスープが入っている。「鹵」はしょうゆベースの調味料で煮込んだ料理のことだ。

 モツはほどよい歯ごたえで、臭みはなく、脂っこくもない。火焼はちくわぶのような食感だ。スープと一緒に口に運ぶと体が温まった。1杯で33元(約700円)。料金を足せば具材を追加できる。

調理のコツは丁寧に洗うこと

 言い伝えなどによれば、料理の誕生は清朝時代の19世紀後半にさかのぼる。宮廷料理に豚肉を使う一品があったが、物価高騰で代わりに豚の内臓を使った。それがやがて、庶民向けの料理に姿を変えた。

 同店は1982年に開店した。3代目店主の陳馳(チェンチー)さん(38)は7年ほど前に外資系企業を辞め、家業を継いだ。祖父はまだ店舗がなかった時代、自転車の荷台に鹵煮火焼を積み、北京の劇場の前で商売をしたという。

 陳さんによると、豚のモツの調理のコツは、まず丁寧に洗うことだ。煮込む際は中華料理に欠かせない八角や花椒(フアジャオ)などの様々な香辛料を入れる。「モツを煮る時間は約30分。それより長いと軟らかくなりすぎて、食感が悪くなるんだよ」

 観光客も訪れるが、客の多くは地元の常連だ。「安くておいしいと言ってもらえるよう、値上げしないようがんばっている」。庶民の味を守る自負心を語ってくれた。

北京は軽食の種類が豊富

 気軽に食べることができる「小吃(シャオチー)」と呼ばれる軽食としては、鹵煮火焼のほか、肉みそをかけた炸醤麺(ジャージアンミエン)、羊などの胃を刻んでからゆで、たれにつけて食べる爆肚(バオドゥー)などが有名だ。

縦横に走る路地

 北京の街には「胡同(フートン)」と呼ばれる路地が縦横に走る。灰色のレンガ壁が特徴で、民家のほか、歴史的建造物、食堂などが軒を連ねる。万里の長城や故宮などを訪れて中国のスケールの大きさに疲れた時、胡同を訪れるとほっとする。今回訪れた豚モツ料理の「陳記鹵煮小腸」も幅3メートルほどの胡同にある店だった。

 胡同は元の時代に整備が始まった。モンゴル語で「路地」を意味する単語を音訳したものが胡同の名前の起源とされている。中国メディアによると、北京の中心部では2003年末時点で1928本の胡同があった。都市開発で一時は取り壊しが進んだが、近年はその価値が見直されている。

 北京にあるチベット仏教寺院・雍和宮から西に延びる「五道営胡同」を歩いてみた。若者らが集まる胡同として知られ、長さ約600メートルの通りに真新しいカフェやレストラン、洋服店などが並んでいた。列をなして歩く外国人観光客らを軒先で日なたぼっこをしている老人が眺めている。伝統と現代が入り交じる独特の空間が広がっていた。

 国内外の総支局長が、地域の自慢の味を紹介します。

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