中国の対外政策 「微笑外交」は見せかけだけか
読売新聞 / 2025年1月15日 5時0分
好戦的な言動で相手を威圧する「
中国の習近平政権が周辺国との関係改善を急いでいる。特にオーストラリアやインド、日本など、米国の同盟・友好国への対応の軟化が目立つ。
対中強硬姿勢を鮮明にしているトランプ次期米政権と、これらの国々が一致して中国に圧力を加える事態にならないよう、布石を打っているのだろう。
豪政府は昨年12月、中国が豪州産牛肉の一部に課していた輸入規制の撤廃で合意したと発表した。これに先駆け、豪州産ロブスターの中国への輸入制限を解除することでも合意に達していた。
両国関係は、豪政府が2020年に新型コロナウイルスの発生源の独立した調査を求めたことから険悪化した。中国は豪州産品の輸入を幅広く制限していたが、全面的に解除される。
中国は、国境問題で対立してきたインドとの間でも、昨年10月に5年ぶりとなる公式首脳会談を行った。19年を最後に途絶えていた国境線を巡る特別代表者同士の対話も再開させた。
トランプ氏は中国からの輸入品に一律60%の関税をかける考えを示している。中国は国内経済がさらに冷え込む事態を想定し、経済・貿易分野で協力できる国を増やそうとしているとみられる。
中国が昨秋、コロナ禍で停止した日本人への短期訪中ビザ免除措置を再開したのも、経済交流や投資の拡大を期待してのことだろう。14日には訪中した自民党の森山幹事長らが中国側と6年ぶりの与党交流協議会を開いた。
習政権は「多国間協調」や「相互利益」を掲げている。中国が本気で対話を重視するのであれば、日本などにとっては2国間の課題を解決する好機となり得る。
しかし、中国は最近の「微笑外交」の一方で、「国家の安全」の確保などを理由に、力で相手を屈服させようとする横暴な手法を捨ててはいない。
沖縄の尖閣諸島周辺では中国海警局の船が頻繁に日本領海に侵入している。南シナ海では海警船がフィリピン船に体当たりしたり、放水したりする事案が相次ぐ。台湾周辺では大規模な軍事演習を繰り返している。
中国が各国の信頼を得て、望ましい国際環境を実現するには、自らの言行不一致を正すことから始めるべきではないか。
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