東京女子医大元理事長、不正資金送金用の専用口座作らせる…３７００万円自身に還流

岩本絹子容疑者（大学ホームページから）

　東京女子医科大学（東京都新宿区）の新校舎建設を巡る背任事件で、大学から建築士に１億円超を不正に支出させたとして逮捕された同大元理事長の岩本絹子容疑者（７８）が、側近の元職員を通じて、建築士に送金先の専用口座を開設させていたことが、捜査関係者への取材でわかった。元職員に口座の通帳を預からせたこともあり、大学資金の還流を計画し、事件を主導していたとみている。

　捜査関係者によると、岩本容疑者は２０１７年１２月、側近の元職員の女性（５２）に対し、新校舎２棟の施工費（約１２８億円）の１％（約１億円）を１級建築士の男性（６８）に支払うよう提案。建築士に報酬の３分の２を戻させるようにと指示し、同大理事会で報酬の支払いが承認された翌月の１８年３月、建築士に送金先となる専用口座を開設させていた。

　同大からはこの口座に計２１回にわたり計１億円超が送金された。岩本容疑者は、このうち約３７００万円を建築士に出金させ、自身に還流させていたという。元職員に専用口座の通帳とキャッシュカードを預からせたこともあったといい、警視庁は資金を管理させていたとみている。

　岩本容疑者は１８年７月～２０年２月、新校舎２棟の建設工事で、建築士に業務実態のない「建築アドバイザー報酬」を支払い、同大に計約１億１７００万円の損害を与えたとする背任容疑で、１３日に逮捕された。同庁は１５日、岩本容疑者を背任容疑で東京地検に送検した。