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ユニークで省エネ「円形校舎」、増改築難しく老朽化で次々解体…三重・朝日小で寄付募り3Dデータ化

読売新聞 / 2025年1月23日 15時0分

朝日町立朝日小学校の円形校舎(三重県朝日町で)

 ユニークなデザインで土地を有効利用できるとして、1950~60年代に相次いで建てられた円形校舎が姿を消しつつある。全国で100棟を超えていたが、三重県朝日町の調査によると、現役の小学校校舎はわずかに5校。同町立朝日小もその一つで、国登録有形文化財になっている。町は建築当時の姿を3Dデータ化して後世に伝えていこうと、寄付を募っている。(四日市支局 倉橋章)

 朝日小の円形校舎は、62年の建築。各地で円形校舎を手がけた坂本鹿名夫氏が設計した。鉄筋コンクリート4階建てで、1~3階は中央に円形ホールを設け、周りに職員室や図書室などを配置。4階は講堂兼体育館で、アーチ状の鉄骨がドーム状の屋根を支える。耐震工事を経て、2013年に国登録有形文化財となった。

 同校は今年度に創立150周年を迎え、6年生が円形校舎の特徴などを調べた。女子児童(12)は「屋根が鍋の蓋みたいでかわいい。円形校舎は町と学校の誇り」と話す。

 千葉工業大の藤木竜也教授(日本近代建築史)の研究室の調査では、50~60年代に建築された円形校舎は幼稚園から大学まで112校、129棟に上る。一般的な長方形の校舎に比べて敷地を有効利用でき、建築材料も少なく済むとして、子どもの急増期に多く造られた。設計上、教室は「扇形」になることが多く、教師と児童の距離が近くなるという利点もあった。

 ただ、増改築の難しさなどから、老朽化とともに各地で解体が進んだ。

 朝日町が昨年、全国の1741自治体にアンケート調査をしたところ、現役で活用されている小学校の円形校舎は、朝日小のほか、神戸市の美野丘小と北須磨小、長野県飯田市の浜井場小、横浜市の蒔田小の5校だった。蒔田小の中村顕哉副校長は「小高い丘の上にあり、屋上からの眺望は抜群。円形校舎は学校や地域のシンボルです」と胸を張る。

 朝日町は、町に残る建築当時の設計図面から3Dデータ化し、模型を作るプロジェクトを企画。「さとふるクラウドファンディング」「ふるなびクラウドファンディング」を通して2月14日まで資金を募っている。目標額は50万円。

 町の担当者は「調査を通して円形校舎の希少性を痛感した。3D化で思い出と歴史を未来に残し、守り伝えたい」と話している。

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